新鮮! 回転すしマーケティング 第7回

くら寿司が水産業に乗り出した。2021年11月に設立した子会社「KURAおさかなファーム」(大阪府堺市)では、漁業権獲得、オーガニックフィッシュ、全量買い取りの完全委託養殖など、新たなチャレンジが目白押し。全国規模の回転すしチェーンが、危機にひんする日本の水産業を根底から支える。

くら寿司が新たに設立した「KURAおさかなファーム」の目玉は「オーガニックはまち」
くら寿司が新たに設立した「KURAおさかなファーム」の目玉は「オーガニックはまち」
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 くら寿司が回転すしチェーン店では初となる水産加工会社「KURAおさかなファーム」を2021年11月に設立。飲食関連以外の子会社は手掛けてこなかった同社がなぜ水産業へ乗り出したのか。

 背景のひとつが世界的な魚価の高騰だ。くら寿司営業本部マネージャーの清水雅彦氏は、「世界的な魚食ブームでニーズが急速に高まり、魚の価格がここ数年高騰している」と語る。魚に対する各国からの引き合いが多いため、安定確保が難しい状況が続いている。

 国内漁業における後継者不足も深刻だ。漁業は収入が不安定で重労働というイメージが強く、そこに少子高齢化が拍車をかけている。さらに日本周辺の海域での漁獲量減少が響き、日本国内における生産量が減少。農林水産省の「漁業・養殖業生産統計」によると、1993年に870.7万トンだった漁業・養殖生産量は、2020年には417.5万トンに激減。かつての「水産大国」の面影はすでにない。国内生産量が減り、海外市場でも買い負ける。魚をめぐる環境はそうした状況になっているのだ。

世界的な魚食ブームで魚の価格が高騰している(写真はイメージ。写真/Shutterstock)
世界的な魚食ブームで魚の価格が高騰している(写真はイメージ。写真/Shutterstock)
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 日本における水産業の危機感から、国も漁業活性化に向けて動き出している。20年12月に施行された改正漁業法による規制緩和で、企業の養殖分野への参入がしやすくなったのもその一環。これまでは新規参入のハードルは高かったが、改正後は都道府県知事の許可があれば民間企業も参入できるようになった。

 KURAおさかなファームの計画は改正漁業法よりも前の19年11月からスタートしている。長年にわたる各地の漁業協同組合との関係を通して漁業創生という取り組みを地道に続け、「漁業を通じて地域社会、ならびに日本の水産業を盛り上げていきたいという思いが地域の方の信頼につながり、漁協の加入に至ることができた」(清水氏)という。

 清水氏は「くら寿司が水産業に参入することで安定した供給量確保とコスト管理を実現し、リーズナブルで高品質なすしを継続して提供。さらに生産者や漁協と連携し、水産業そのものを活性化したい」とKURAおさかなファームの目的を語る。

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