2021年ヒット商品ベスト30 第11回

2021年11月4日発売の「日経トレンディ2021年12月号」では、日経クロストレンドと11月3日に発表した「2021年ヒット商品ベスト30」を特集。10位に選出したのが「Visaのタッチ決済」だ。対応カードと使える店舗・サービスが共に大きく増え、利用機会が拡大。店舗で端末にタッチするだけで簡単に支払える利便性が認知されたうえ、コロナ禍での非接触ニーズにも合致して支持を広げた。月間の決済取引件数は1年で約5倍に急伸している。

※日経トレンディ2021年12月号の記事を再構成

ヒット商品10位に「Visaのタッチ決済」がランクイン
ヒット商品10位に「Visaのタッチ決済」がランクイン

前回(第10回)はこちら

【10位】Visaのタッチ決済

 拡大するキャッシュレス決済市場にあって、この1年で急激に存在感を高めたのが「Visaのタッチ決済」。Visaブランドのクレジットカードやデビットカードなどを使い、店舗で端末にタッチするだけで簡単に支払いができるサービスだ。

 月間の決済取引件数は、1年で約5倍に急増(2021年6月の前年同月比)。対応するカードと使える店舗が共に大きく増えたことで、利用機会が拡大した。

 それに伴い、サインや暗証番号入力が不要で、端末にカードを差し込む手間も無く、電子マネーと同等の素早い決済ができる、かつチャージも不要という利便性が認知され、支持を広げた。コロナ禍での非接触ニーズにも合致した。

■Visaのタッチ決済
店頭の端末にタッチするだけで、簡単にカード払いができる
店頭の端末にタッチするだけで、簡単にカード払いができる

 対応カードの発行枚数は5100万枚(21年6月時点)と、1年で1.8倍に伸長。新規発行に加えて、既に持っているカードの更新時に、対応カードに切り替わるケースも増えている。また、21年5月にはApple Payにも対応。カードを登録したiPhoneやApple Watchなどでもタッチ決済ができるようになり、利用者増につながった。

■ハイペースで増え続ける対応カード
注)発行枚数はカード会社・金融機関からの報告による
注)発行枚数はカード会社・金融機関からの報告による

大手小売店や商業施設、公共交通機関に導入進む

 店舗側の対応端末設置台数も1年で約2倍に増加。20年秋以降にイトーヨーカドーやファミリーマート、クスリのアオキ、ワタミグループといった大手小売店や飲食店が新たに導入。主要コンビニでは、ほぼ利用できるようになった。

 「最近では、JR西日本の駅ビルの商業施設でも対応を開始。都市圏のショッピングセンターや地方のスーパーなどにも広がっている。また中小店舗でも、導入が着実に増えている」(ビザ・ワールドワイド・ジャパン)。さらに、全国各地の公共交通機関(バスや鉄道)にもこの1年で導入が進んだ。

■公共交通機関での導入が拡大
バスや電車の運賃支払い手段として導入する動きも広がる(写真は南海りんかんバス)
バスや電車の運賃支払い手段として導入する動きも広がる(写真は南海りんかんバス)

 こうした環境が整うのと同時に、普及と認知度の向上を後押ししたのが、人気カードの登場やキャンペーンだ。21年2月に発行を開始した「三井住友カード(NL)」は、コンビニ大手3社とマクドナルドでVisaのタッチ決済で支払うと、5%のポイント還元が得られるとして一躍人気に。8月末までに70万枚超を発行した(7月発行開始のゴールド含む)。

■人気カードやApple Pay対応が普及を後押し
Visaのタッチ決済で支払うと得になる「三井住友カード(NL)」(上)が人気獲得。また、Apple Payに対応したことで、カードを持ち歩かなくても使えるように(下)
Visaのタッチ決済で支払うと得になる「三井住友カード(NL)」(上)が人気獲得。また、Apple Payに対応したことで、カードを持ち歩かなくても使えるように(下)
■指輪型の決済デバイスも登場
Visaのタッチ決済対応のスマートリング「EVERING」も話題に。先行予約販売ではすぐ完売した
Visaのタッチ決済対応のスマートリング「EVERING」も話題に。先行予約販売ではすぐ完売した

 また、ビザが実施した「ファミマで500円以上のタッチ決済を2回利用すると抽選で1000円が当たる」や、三井住友カードが実施した「ドトールグループで利用すると最大2000円分のVポイントギフト進呈」といったお得なキャンペーンも話題になった。「そうした機会に初めてタッチ決済を使った人が、便利さを実感して、その後継続的に使うようになるケースも多い」(ビザ・ワールドワイド・ジャパン)という。

■お得なキャンペーンで注目度アップ
ビザやカード会社が積極展開した様々なキャンペーンにより、サービスの認知度が向上。初めて使う人が利便性を実感する機会となった
ビザやカード会社が積極展開した様々なキャンペーンにより、サービスの認知度が向上。初めて使う人が利便性を実感する機会となった

 キャッシュレス決済の「遅れて来た本命」ともいえるVisaのタッチ決済が、本格普及に向けて強い勢いを示した。

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