
2021年11月4日発売の「日経トレンディ2021年12月号」では、日経クロストレンドと11月3日に発表した「2021年ヒット商品ベスト30」を特集。7位に「キリン一番搾り 糖質ゼロ」が入った。国内初となる糖質ゼロビールが1年にわたって市場を快走し、同社最速で累計2億本を達成した。ビールを飲まない層が試しに飲んで味に納得し、リピート買いしたからこその結果だった。
※日経トレンディ2021年12月号の記事を再構成
【7位】「キリン一番搾り 糖質ゼロ」
日本で初めて酒税法上のビールとして糖質を100%カットすることに成功した「キリン一番搾り 糖質ゼロ」。2020年10月にスーパーやコンビニにお目見えした新顔が、1年に渡ってビール市場を快走した。
発売から5日間で20年の年間目標の5割強に達するロケットスタートを切ると、21年に入っても勢いは衰えることなくコンスタントに売れ続けた。21年3月に1億本、そして9月には「キリンが過去10年で発売したビール新製品として最速で累計販売2億本(大瓶換算で553万ケース)を達成した」(キリンビール)。
年末に向けて好調な売れ行きが続くと見て、同社は21年の年間販売目標を約3割増に上方修正している。
■キリン一番搾り 糖質ゼロ
オリジナル一番搾りも好調、糖質ゼロが呼び水に
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糖質ゼロは、発泡酒や「第3のビール」と呼ばれる新ジャンルでは既に多くの製品が存在し、目新しいものではない。一番搾り 糖質ゼロがヒットした理由は、ビールでそれを可能にしたこと。主原料の麦芽を50%以上含むからこそ生まれるビール特有のうまみを残しつつ、糖質を取り除いた。それにより、普通においしいビールは飲みたいが、糖質は取りたくないという層を捉えた。
これまでビールで糖質ゼロを実現できなかったのは、発酵工程で麦芽が含む糖を、酵母が一切残さず分解しきることが難しかったためだ。そこでキリンビールは、ゼロベースでビール造りを見直した。まず麦芽は、酵母が分解しやすい糖をできるだけ多く含むものを探し出した。そのうえで酵母が分解しすいサイズの糖が生成されるように発酵工程を工夫し、さらに麦芽から糖を取り出す前段階の仕込み工程も最適な温度条件や処理時間を試行錯誤した。「通常数十回で済む試験醸造を350回行い、5年がかりで100%糖質を取り除く製法を編み出した」(キリンビール)
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