デジタルプレゼンスを高めるには、Webサイト訪問者のニーズを理解することが第一歩。それを実現する技術がパーソナライゼーションだ。詳細な個人情報がなくても、パーソナライゼーションに必要な顧客理解を進めることは難しくない。パーソナライゼーションを考えるうえで重要なポイントを解説する。

訪問者1人ひとりを特定せず、「その人が何を求めているのか」を理解し、そのニーズに応じて適切な情報を適切な形で提供することがパーソナライゼーションの極意である(写真/Shutterstock)
訪問者1人ひとりを特定せず、「その人が何を求めているのか」を理解し、そのニーズに応じて適切な情報を適切な形で提供することがパーソナライゼーションの極意である(写真/Shutterstock)

パーソナライゼーションとは何か?

 連載第1回で、「Webサイトを訪問した人に対し、その人が求める正しい情報を、最適なタイミングで提供すること」が、自社Webサイトのデジタルプレゼンスを高める最も基本的で重要なポイントであることを説明した。

 もちろんアクセス分析などを何もしなければ、訪問した人が何を求めて自社のWebサイトを見ているのか分かりようがない。データとアクセス分析ツールを活用して訪問者の状態やニーズを深掘りし、その人のニーズと親和性の高いコンテンツをマッチングさせることを「パーソナライゼーション」という。

 パーソナライゼーションというキーワードが注目されたのは20年以上前のことで、「個人に合わせてカスタマイズすること」という意味で使われていた。その当時の有名な事例は、米アマゾン・ドット・コムが運営する「Amazon」など、ECサイトのレコメンド(推奨)機能だった。ある商品を購入すると、その商品を購入した別のユーザーの購買傾向から、「この商品を購入した人は、こんな商品も買っている」と商品をレコメンドする機能で、実際に大きな効果を上げていた。例えば、タブレットを購入したら、次はキーボードやカバーなどの関連商品をECサイト上で勧めることで、売り上げアップにつながるし、ユーザーも買い忘れを防止できるわけだ。

 ただし、このレコメンドは、どちらかというと「商品」に着目した仕組みであって、「人」に焦点を当てたものではない。相手が20代の男性だろうと50代の女性だろうと、「この商品を買った人は、こんな商品も買っている」とお知らせしているだけ。その人のニーズ自体を深掘りしているわけではなかった。

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