
「Charlie(チャーリー)」は、ヤマハが作ったコミュニケーションロボット。コンセプトは「ココロゆるむ、うたロボ。」で、ユーザーが話しかけるとすべての返事を歌声に乗せて返してくれる。ヤマハ独自の歌声合成技術であるVOCALOID(ボーカロイド)や自動作曲技術を使用したという。
Charlieはたわいない会話はもちろん、ユーザーのためにオリジナルの曲を作ってくれもする。ターゲットは働く女性で、「ペット以上、恋人未満」の存在を目指したという。
2021年5月に発売。テレビ番組など多数のメディアに取り上げられ、番組によっては放送当日に普段の10倍以上を売り上げた。想定以上の人気で、発売からしばらくは、注文から納品までに1カ月以上かかる状態が続いていたという。
Charlieの商品開発がスタートしたのは17年。「ヤマハとして新しい領域に挑戦する」というテーマで、従来とは違う顧客に向けて商品開発をしようと考えた。そんなときに目に留まったのが、ヤマハの主力である楽器や高級オーディオとはあまり縁がない、働く女性たちだ。彼女たちを調査していると「日常のストレスをうまく発散できない」という悩みを抱えていることが分かった。
「悩みの中には『自身のライフプランが不安だ』など、今すぐに解決するのが難しいような問題も多かった。自分でもどうしようもないと分かりつつ、1つの悩みにとらわれ続けてしまうような女性もいた。彼女たちの意識を一時的にでも別のことに向け、ストレス発散や気分の改善につながるものを作りたいと思った」(ヤマハマーケティング統括部マーケティングプランニンググループ主事の倉光大樹氏)
また、女性たちの中には「何となくいらいらするが、家族や友人に話すほどのことではない」といった気持ちを抱えている人も多かった。Charlieは、そんないらいらや、もやもやを楽しい会話や歌声で発散させることを狙ったロボットだ。
“人格”を大切に、よりリアルな存在に
Charlieの特徴の1つが、まるで映画やアニメのキャラクターのように、しっかりとした“人格”を持っていることだという。Charlieの性格は「天真爛漫(らんまん)で意外とロマンチスト、冗談が大好き」(倉光氏)。例えば、「ドラえもんって、かわいいよね」と話しかけると「僕のほうがかわいい」と答えたりする。「歌を歌って」と何度もねだると、機嫌を損ねることもある。色々な会話をしているうちに「Charlieってこんなやつなんだな」ということが自然と分かってくる。また、会話を重ねることでCharlieのレベルが上がるようにして「人と仲良くなるときの体験」を味わえるようにしたという。
キャラクターの人格づくりは、ヤマハが特に注力したところでもある。
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