
人手不足が深刻な外食業界ではロボットへの期待は高い。すでに活用実験に取り組むチェーンも相次いでいる。ただ、まだ試行錯誤の段階といえそうだ。期待通りの導入効果を上げるには、「ロボットとの協働」を前提に、店舗設計や店舗オペレーションを「withロボット」にデザインし直すことが欠かせない。
飲食店といっても規模やサービス、客単価などの運営形態で店舗の特徴はそれぞれ異なる。高級店と低価格な店舗では、顧客の期待も違う。そういった個々の状況にロボットをどう対応させれば業務効率が向上するのか。「Shangri-La's secret(シャングリラズ シークレット)」と「焼肉きんぐ」という対照的な店舗の事例で見てみよう。
IoT・AI(人工知能)ソリューション開発のSGST(東京・港)では、新型コロナウイルス対応として飲食店やレジャー施設、医療機関向けに、ロボットによる非接触サービス化を支援している。シャングリラ・インターナショナルダイニング(東京・港)のShangri-La's secret(シャングリラズ シークレット)や、ワタミの「焼肉の和民」など、一部の外食チェーンはSGSTの協力で店内の配膳などの実証実験を行った。使用するのは、中国・深圳の普渡科技(Pudu Robotics)が開発したディスプレー付き配膳・案内ロボットだ。
シャングリラズ シークレットは、「スープがごちそうのキノコ鍋」をコンセプトにしたキノコしゃぶしゃぶの専門店。中国雲南省・香格里拉市産の乾燥キノコ数十種類を煮込んだブラックスープに、さまざまな素材をしゃぶしゃぶのようにして食べる。東京都内に銀座店、六本木店、表参道店、中目黒店の4店舗がある。
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シャングリラ・インターナショナルダイニングは、まず2021年4月1日~5月9日に中目黒店で「BellaBot(ベラボット)」の実証実験を行い、次いで10月1~10日に表参道店で「KettyBot(ケティボット)」の実証実験を行った。現在は本格導入に向けて、店舗オペレーションを調整中だ。
表参道店が使用したKettyBotには、主に3つのモードがある。1つは、配膳・下げ膳ができる「搬送モード」。ロボットに料理を乗せ、タッチパネルで「配膳」を選択し、指定のテーブルまで料理を運ぶ。2つ目は、「案内モード」。KettyBotを店舗入り口に配置し、お客を席まで案内する。3つ目は、お店のフロントなどでお客と会話をする「集客モード」だ。シャングリラズ シークレットでは、主に搬送モードと案内モードに期待していたという。
表参道店では、実際にKettyBotを使用して以下の改善点を感じたという。
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