
2014年に発表された人型ロボット「Pepper」。ソフトバンクショップの店頭に加え、最近は福岡ソフトバンクホークスを応援する姿を目にした人も多いはずだ。そんなPepperが今、教育分野で活躍している。
2015年に国内での販売がスタートした「Pepper」は、人の感情を認識して会話できるロボットとして、商業施設での接客や受け付けなどに活用されてきた。20年夏に生産を一時停止しているものの、接客以外にも教育分野で存在感を示している。
ソフトバンクグループは17年、プログラミング教育の教材としてPepperを全国の小・中学校・高等学校などを対象に無償貸与する「Pepper社会貢献プログラム」を開始。18年に「Pepper社会貢献プログラム2」を、さらに21年4月にはPepperに加え、プログラミングツールや教育アプリなどをセットで提供する「Pepper for Education」というサービスを始動した。現在までにPepperは約1000校で活用され、4万回の授業が行われているという。
「小学校での活用が最も多い」と、ソフトバンクロボティクス(東京・港)のコンテンツマーケティング本部コンテンツマーケティング統括部Humanoid事業部戦略推進課担当課長、長﨑徹眞氏は語る。例えば沖縄県国頭郡本部町立瀬底小学校では、Pepperをプログラミング教育だけではなく、生徒への図書案内や図書検索支援などにも活用しているという。
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「プログラミング的思考」を養う
ソフトバンクグループがPepper社会貢献プログラムを開始した背景には、20年度から始まった小学校のプログラミング教育の必修化が大きく関係している。プログラミング教育の狙いは、自分が意図する一連の活動を実現するための「プログラミング的思考」を養うこと。プログラミング的思考とは、どのような動きの組み合わせが必要で、それらの組み合わせをどのように改善していけば、意図した活動により近づくのかを、論理的に考える力である。
このプログラミング的思考を養う学習に、「Pepperを活用できると考えた」(長﨑氏)という。Pepperの最大の特長は社会実装できるプロダクトとして開発されていること。またPepperは小学2年生の平均身長とほぼ同じ約121センチメートルで、親しみやすいキャラクター性、認知度の高さもある。
「実際に街で見かけるPepperを子供たち自身で動かせることが、プログラミング教育に取り組むモチベーションになる。自発的なチャレンジを誘発してくれる良い教材という評価をもらっている」(長﨑氏)という。
教育現場でPepperを活用しやすくするための3つの仕掛けも用意した。
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