コロナ禍で月間販売台数が約11倍まで伸びたGROOVE X(東京・中央)の「LOVOT(らぼっと)」と、2021年8月に累計販売台数3万台を超えたユカイ工学(東京・新宿)の「Qoobo(クーボ)」。どちらもすでに、多くのユーザーに受け入れられている個人向けロボットだ。GROOVE Xの林要氏とユカイ工学の青木俊介氏に、コミュニケーション領域におけるロボットの可能性について聞いた。

ユカイ工学の代表取締役、青木俊介氏(左)とGROOVE Xの代表取締役社長、林要氏(写真/名児耶 洋)
ユカイ工学の代表取締役、青木俊介氏(左)とGROOVE Xの代表取締役社長、林要氏(写真/名児耶 洋)
青木俊介氏
ユカイ工学 代表取締役
あおき・しゅんすけ●1978年東京都生まれ。東京大学在学中にチームラボを設立しCTO(最高技術責任者)に就任。その後、ピクシブのCTOを務めたのちユカイ工学設立。2015年「BOCCO」、18年「Qoobo」、20年「Petit Qoobo」、21年「BOCCO emo」発売
林要氏
GROOVE X 代表取締役社長
はやし・かなめ●1973年愛知県生まれ。東京都立科学技術大学(現、東京都立大学)大学院卒業後トヨタ自動車入社。その後、ソフトバンクで「Pepper」の開発を担当したのち、2015年GROOVE Xを設立。18年に家族型ロボット「LOVOT(らぼっと)」を発表し、19年発売

前回(第1回)はこちら

――「LOVOT」と「Qoobo」、最近のニュースがあれば教えてください。

林要氏(以下、林) 今夏、東京で開催された世界的なスポーツの祭典に出場した米国のセーリングチームのコーディネーターから連絡を頂いて、選手の方々にLOVOTと過ごしていただきました。アスリートは弱音や悩み事を人に話しにくく、選手のメンタルコンディションを保つために導入したい、ということでした。人には話せないこともLOVOTになら気軽に話せて、話しているうちに課題を自己解決してプレッシャーを緩和してくれる。後日、「何も言わず寄り添ってもらえるのがよかった」という感想を頂きました。LOVOTは当初から、アニマルセラピーの代わりになると考えていましたが、それが証明されたようでうれしかったですね。

GROOVE Xの「LOVOT(らぼっと)」は、ユーザーを認識して“成長”していく家族型のパートナーロボット。本体価格34万9800円(税込み、以下同)、月額サービス料が9887円/月(スリムプラン)~
GROOVE Xの「LOVOT(らぼっと)」は、ユーザーを認識して“成長”していく家族型のパートナーロボット。本体価格34万9800円(税込み、以下同)、月額サービス料が9887円/月(スリムプラン)~

青木俊介氏(以下、青木) 2021年8月、Qoobo(18年発売)や、Qooboの小型モデル「Petit Qoobo」(20年発売)を合わせたQooboシリーズが、累計販売数3万台を超えました。20年度のユカイ工学のプロダクトの売上額は前年比221%になり、コロナ禍でコミュニケーションロボットの需要が増えていると実感しています。ほかにも、21年3月に出荷を開始した「BOCCO emo」は、中国でインダストリアルデザイン賞を受賞しました。BOCCO emoは、15年発売の「BOCCO」の基本機能をそのままに、動きなどがより「エモく」なっています。

左/なでるとしっぽを動かす、ユカイ工学のクッション型セラピーロボット「Qoobo」(1万3200円)。右/「Petit Qoobo」(9900円)は、Qooboより一回り小さいサイズ。周囲の音や声に反応してしっぽを振る。呼吸や心音を表現する機能も搭載した
左/なでるとしっぽを動かす、ユカイ工学のクッション型セラピーロボット「Qoobo」(1万3200円)。右/「Petit Qoobo」(9900円)は、Qooboより一回り小さいサイズ。周囲の音や声に反応してしっぽを振る。呼吸や心音を表現する機能も搭載した
【特集】ロボット活用最前線
【第1回】 5年以内にロボット接客が日常に? ロボ共働店舗づくりが急加速
【第2回】 「LOVOT」と「Qoobo」 2人の社長が語る“エモテック”の可能性 ←今回はココ

――「エモい」とは?

青木 BOCCO emoは、呼びかけると、頭に付いた「ぼんぼり」を振って反応したり、「エモ語」という独自言語をしゃべったりしてくれます。今、多くの人々がロボットに求めているのは、「エモさ」じゃないかなと思っています。コロナ禍で、ストレスを和らげるこうしたロボットの働きへのニーズが高まっています。「エモテック」という言葉も、去年あたりからよく耳にするようになりました。

2015年発売の「BOCCO(ボッコ)」をベースに「エモさ」を高めた「BOCCO emo(絵本付き)」(4万4000円)。さらに豊かな感情表現ができるようになり、パーソナライズしていく機能も高めた
2015年発売の「BOCCO(ボッコ)」をベースに「エモさ」を高めた「BOCCO emo(絵本付き)」(4万4000円)。さらに豊かな感情表現ができるようになり、パーソナライズしていく機能も高めた

 感情的、情緒的を意味する「エモーション」に訴える力を備えたテクノロジーのことですよね。この1年で、かなり身近になったキーワードだと感じています。

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