カスタマーサクセスの誤解 第4回

おやつのサブスクリプションサービス「snaq.me(スナックミー)」を展開するスナックミー(東京・中央)は、1年間にわたりカスタマーサクセスの担当者の採用に奔走した。ところがその努力が実を結ぶことはなかった。同社の服部慎太郎社長が思い描くカスタマーサクセスと、BtoB(企業向け)事業のカスタマーサクセス経験者の間に生じた認識のずれがその要因だ。最終的に、スナックミーは担当者の採用を断念。全社でカスタマーサクセスに取り組み始めた。

おやつのサブスクリプションサービス「スナックミー」を展開するスナックミー(東京・中央)は、1年間にわたりカスタマーサクセスの担当者の採用活動に取り組んだが、ついに断念した
おやつのサブスクリプションサービス「スナックミー」を展開するスナックミー(東京・中央)は、1年間にわたりカスタマーサクセスの担当者の採用活動に取り組んだが、ついに断念した

 「カスタマーサクセスという言葉を使って人材を募集すると、応募者数は増えるがフィットしない人ばかりが応募してきてしまう。BtoBのカスタマーサクセス経験者から多く応募をいただいたが、BtoBとBtoCの事業では求められるスキルが全く異なる。結果、スキルのミスマッチが起こってしまった」

前回(第3回)はこちら

 服部氏はこう表情を曇らせる。結局、カスタマーサクセス担当者の採用はかなわなかった。このすれ違いの要因には、特集第1回で解説した「カスタマーサクセス=新しいマーケティング手法」という誤解がある。

 スナックミーは2週間あるいは4週間に1度、自分好みのおやつが届くサブスクサービスだ。1つの箱に8種類の菓子が小分けで詰め合わされ、ポストに投函(とうかん)される。用意するおやつはクッキー、ドライフルーツ、ナッツなど、170超の生産者やメーカーと共同で開発する。人工添加物や白砂糖、食用油脂のショートニングなどを使わないナチュラル志向である点が特徴だ。これを顧客の好みに合わせて、パーソナライズして詰め合わせる。一部だが、希望の菓子の同梱をリクエストすることも可能だ。月額利用料は送料込みで1980円からとなる。

 利用開始前に「おやつ診断」という診断コンテンツで、食の好みや苦手な食材、アレルギーの有無などを入力する。そのデータを基に、AI(人工知能)が好みに合わせて選んだおやつが届く。おやつはそれぞれマイページで評価できる。その評価を基にAIが学習し、より顧客の好みに合った商品を届けていく。

スナックミーは2週間あるいは4週間に1度、自分好みのおやつが届くサブスクサービス。1つの箱に8種類の菓子が小分けで詰め合わされ、ポストに投函される
スナックミーは2週間あるいは4週間に1度、自分好みのおやつが届くサブスクサービス。1つの箱に8種類の菓子が小分けで詰め合わされ、ポストに投函される

 そのスナックミーがカスタマーサクセス職の募集を始めたのは、サービスの成功体験をつくり、継続利用率を高め、LTV(顧客生涯価値)を最大化するためにも、専任の担当者が必要だと踏んだからだ。翻ってBtoB、主にSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)でも、導入企業の成功を支援し、LTVを最大化させることがカスタマーサクセスの目的になる。その字面だけ見れば、担当者の役割は同じようにも読める。だがここに落とし穴がある。

 両者を分ける1つ目の違いは「成功体験の定義」だ。BtoBのサービスは導入企業の売り上げを増やすなど、顧客の目標が共通であることが多い。継続利用につながっている顧客企業と解約企業の利用動向をデータで分析し、目標達成の成功要因を分析することで、顧客企業がつまずきやすいポイントを可視化する。浮かび上がったポイントを意識しながら、カスタマーサクセス担当者が手助けするなど、取り組みを体系化しやすい。

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