メタバースで変わるビジネス 第2回

メタバース時代の到来に先駆け、仮想空間での商品販売にチャレンジする企業がある。セレクトショップの雄、ビームス(東京・渋谷)だ。バーチャル店舗を出店し、店舗スタッフがアバターとなって“生”で接客をする――。同社のメタ・コマースへのチャレンジからは、リアルともECとも異なる新しい小売りの可能性が見えてきた。

ビームスはバーチャル店舗を出店し、スタッフがアバターにふんして接客を実施。その結果は、想定外の連発だった(写真提供/ビームス)
ビームスはバーチャル店舗を出店し、スタッフがアバターにふんして接客を実施。その結果は、想定外の連発だった(写真提供/ビームス)

 メタバース時代の到来を前に、既に仮想空間内でのコマースが無視できない規模になりつつあることは特集第1回で紹介した。仮想空間における物理的なリアル商品やデジタル商品の販売、“メタ・コマース”構築への動きは始まっている。

前回(第1回)はこちら

 小売りやメーカー各社は、今までもSNSを活用するなど、デジタルの進化に対応して消費者とのつながりを強化してきた。そんな中でのコロナ禍。実店舗での小売りが不調になる世界において、仮想空間はより現実感のあるフロンティアと見られるようになった。特集第2回は、セレクトショップの雄、ビームス(東京・渋谷)のメタ・コマースへのチャレンジから、仮想空間における商品販売の可能性と未来をひもとく。

【特集】メタバースで変わるビジネス
【第1回】 メタバースは流行しない? 3つの疑問から探るビジネスの勝ち筋
【第2回】 ビームスが挑むメタバース・コマース 意外と売れた、2つの発見 ←今回はココ

コロナ禍のチャレンジ バーチャルマーケット初参戦

 ビームスの挑戦は、2020年12月に遡る。12月19日から翌年1月10日まで開催された、「バーチャルマーケット5」に初めてバーチャル店舗を出展したのが端緒だ。

 バーチャルマーケット(Vket)とは、HIKKY(東京・渋谷)が展開する世界最大級のVR(仮想現実)イベント。出展者と来場者がアバターの姿で参加し、交流したり、デジタル商品やリアル商品を売り買いできたりするイベントだ。18年にスタートし、セブン&アイ・ホールディングスが「セブンイレブン」のバーチャル店舗を出展したり、大手自動車メーカーが試乗車を出展したりするなど、多種多様な企業が参画。21年8月までに計6回が開催され、「今では1回当たり2~3週間の会期で、世界中から100万人以上の来場者が訪れる」(HIKKY代表の舟越靖氏)という驚異の規模を誇る。

バーチャルマーケット6の様子。左上画像は会場入り口、右上はビームス、左下は大丸松坂屋百貨店、右下はJR東日本の各ブース。VketはVRアプリの「VRChat」上で開催するもので、当初はVRヘッドセットもしくはある程度のスペックを持ったPCが必要だった。だが、Vket5からは独自開発の「Vket Cloud」という技術を用い、一部の出展ブースに関しては低スペックなPCやスマホからでもブラウザ経由でアクセスできるようになった
バーチャルマーケット6の様子。左上画像は会場入り口、右上はビームス、左下は大丸松坂屋百貨店、右下はJR東日本の各ブース。VketはVRアプリの「VRChat」上で開催するもので、当初はVRヘッドセットもしくはある程度のスペックを持ったPCが必要だった。だが、Vket5からは独自開発の「Vket Cloud」という技術を用い、一部の出展ブースに関しては低スペックなPCやスマホからでもブラウザー経由でアクセスできるようになった

 ビームス初参戦となったVket5では、「ビームス 原宿」を模したバーチャルショップをオープン。リアルな限定商品に加え、デジタル商品の販売にもチャレンジ。スタッフがリアルタイムにアバターで対応するバーチャル接客も実施した。ビームスとしては前例がない中でのスタートであり、「まさに手探りだった」と、ビームス クリエイティブ ビジネスプロデュース部 ビジネスプロデュース3課 課長の木村淳氏は振り返る。それから約半年後の21年8月には、商品やサービスを充実させてVket6に参戦した。そんなチャレンジから見えたのが、メタ・コマースの可能性を示す2つの“驚き”だ。

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