コロナ禍にもかかわらず、ベンチャー市場には資金流入が続く。そんな中、2022年に大きく飛躍しそうな企業を探るべくVC(ベンチャーキャピタル)を訪問する本連載。第2回は、創業前後のシードステージのスタートアップ400社以上に投資をしてきたインキュベイトファンド(東京・港)の代表である本間真彦氏に、注目のトレンドや企業を聞いた。

本間真彦氏
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本間 真彦 氏
インキュベイトファンド代表
ジャフコの海外投資部門でシリコンバレーやイスラエルのIT企業への投資、JV設立、日本進出業務を担う。アクセンチュアのコーポレートデベロップメントおよびベンチャーキャピタル部門、三菱商事傘下のワークスキャピタルを経て、2007年、ベンチャーキャピタリストとして独立。ネット事業の創業投資に特化したファンド、コアピープルパートナーズを設立した。10年にインキュベイトファンドを設立し、代表パートナーに就任。国内投資に加え、シリコンバレー、インドおよび東南アジアの海外ファンドを統括する

――2021年から動き始めたスタートアップの新たな潮流として注目しているものは。

本間真彦氏(以下、本間) まず、注目ジャンルの一つであるフィンテック分野で、国内外を問わず脚光を浴びたのが「BNPL(バイ・ナウ・ペイ・レーター)」といわれる後払いサービスです。

 日本では、Paidy(東京・港)やネットプロテクションズホールディングス(東京・千代田)が主要なプレーヤーであり、例えばPaidyはユーザーがECサイトで商品を購入する際、メールアドレスと携帯電話番号を入力するだけで、翌月に後払いすることができます。クレジットカードに変わる決済手段として、Z世代(25歳前後よりも若い世代)を中心に急速に利用が拡大。米国や欧州、ブラジルでも後払いサービスは広がっており、世界中のVCが注目しています。

日本における後払いサービスプラットフォームのPaidy。米決済大手のPayPal Holdings(ペイパル)が約27億ドル(3000億円)で買収すると発表して大きな話題になった
日本における後払いサービスプラットフォームのPaidy。米決済大手のペイパル・ホールディングスが約27億ドル(3000億円)で買収すると発表して大きな話題になった
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 この分野はフィンテックと個人データの組み合わせでサービスが成立しています。ユーザーが日々ECサイトで購入すると、購買と支払い情報が蓄積され、それがその人の信用度を測る指標となります。毎回着実に払っている人であれば「貸すことができる人」と判断され、後払いサービスを利用できるというわけです。つまりデータとレンディング(融資)がセットとなったシンプルなサービスであり、この分かりやすさから導入するECサイトが急増しています。

 購入する側にとっても、買い物のデータだけであれば、それほど抵抗感なく提供してもよいという心理が働きます。サービスの提供側も購入金額に上限があることから、万が一貸し倒れても損害は限定的だと割り切れます。米アファーム・ホールディングスのように、少額であれば与信をせずにアカウントを提示するだけで後払いできるサービスもあります。与信など難しいことはせず、少額を貸してみて、返ってこなかったらアカウントをBAN(停止)してしまえばいいという発想です。

ホワイトカラー業務のオンライン化が加速

――コロナ禍による生活の変化を捉えて伸びた領域やスタートアップは。

本間 ニッチな分野ですが、テレワークや外出自粛で自宅にいることが増え、21年にはハウスクリーニング業界が盛り上がりました。その中でも注目しているのが、ユアマイスター(東京・世田谷)です。利用者と業者をマッチングさせるウェブサービスを運営しており、いってみれば、イエローページの代替となる新しいプラットフォームです。

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