SDGs(持続可能な開発目標)に関連する日本企業の研究およびイノベーション力を見てきた本連載。第4回では、グローバル情報分析企業であるエルゼビアが、国の競争力と長期的発展の鍵となる、SDGsの目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に関連する研究を分析。急成長中の研究分野である「3Dプリンティング」や「デジタルツイン」などについても解説する。

現実空間で集めたデータをもとに、デジタル空間にそのモデルを再現する技術「デジタルツイン」も、目標9関連で注目の研究テーマだ(写真/Shutterstock)
現実空間で集めたデータを基に、デジタル空間にそのモデルを再現する技術「デジタルツイン」も、目標9関連で注目の研究テーマだ(写真/Shutterstock)

 日本発のイノベーションといえば、何を思い浮かべるだろうか。ロボットや新幹線、あるいはQRコードや絵文字だろうか。古い伝統文化と、SF『攻殻機動隊』に描かれたようなテクノポリス(高度技術集積都市)を独特に融合させた国、というイメージを持つ人も多いだろう。逆に、デジタル化の遅れや行政の縦割りが弊害となり、イノベーションが停滞している国、という認識を持つ人も最近は増えているかもしれない。

 SDGsの目標9「強靱(きょうじん)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る」には、各国が世界をリードするために鍵となる要素が、見事にまとめられている。この目標9のターゲット(行動指針)の要件には、道路や鉄道、航空輸送といった伝統的なインフラのほか、ITインフラの状態、製造業や中小ハイテク産業の規模、金融サービスへのアクセス、産業界の環境への配慮、研究開発投資の規模、そして他国への開発支援をどのくらい行っているか、などが含まれている。

 2020年時点で、世界ではインターネットにアクセスできない人がいまだ36億人に上る。また、パンデミックの発生や気候変動による異常気象の深刻化は、強靱なインフラの重要性を改めて知らしめることとなった。想像通りかもしれないが、日本のSDGs目標9の達成状況は極めて良好で、おおむねすべてのターゲットを達成している。

 例えば他国への開発支援では、中国の「一帯一路」構想が世界的な注目を集めているが、15年から安倍政権の下で推進された「質の高いインフラパートナーシップ」構想もあり、東南アジアへのインフラ投資では依然として日本がトップだ。信用格付け大手の米フィッチ・ソリューションズがまとめた21年のデータによると、日本は官民連携の下、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムでのプロジェクトに2590億ドル(約29兆8300億円)を投じており、2位中国の1570億ドル(約18兆円)を大きく上回っている。

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