SDGsの17目標のうち、目標3「すべての人に健康と福祉を」は日本企業の研究における貢献が比較的高い分野で、新型コロナウイルス感染症との関連も深い。情報分析企業であるエルゼビアのアンデーシュ・カールソン博士が、論文や特許のデータから日本企業の貢献を分析した。

新型コロナのワクチンも長年の研究開発の成果だと言える(写真/Shutterstock)
新型コロナのワクチンも長年の研究開発の成果だと言える(写真/Shutterstock)

 新型コロナウイルス感染症において、ワクチンは最も重要な対策の一つだ。しかし、世界のワクチン接種状況は二極化が進んでいる。例えば、アフリカ諸国における接種率は2021年10月21日時点で総人口の僅か6%と極端に低い。一方で日本は、初動こそ鈍かったものの10月時点で75%超が2回のワクチン接種を完了しており、G7諸国の中で最も高い接種率を達成している。しかし、そのワクチンを開発したのは日本企業ではなく、米国のファイザー、モデルナ(供給は武田薬品工業が担当)、そして英国のアストラゼネカだ。この事実を念頭に置きながら、持続可能な開発目標(SDGs)の目標3「すべての人に健康と福祉を」の重要性に目を向けたい。

 目標3では、妊産婦死亡率、乳幼児死亡率、平均寿命、がん死亡率、糖尿病罹患(りかん)者数、ワクチン接種率、交通事故死者数、常習喫煙者数、主観的な幸福感に関する13の「ターゲット」と28の「指標」が設けられている。日本は、これら指標のほとんどすべてで順調に取り組めており、ターゲット達成が見込まれる。

 この成功の理由は、日本の質の高い医療と健康的なライフスタイルにあると言えるだろう。例えば和食はただおいしいだけではなく、そのヘルシーさも魅力となっている。また、秩序ある安全な社会が維持できていることも大きい。日本における人口当たりの交通事故死者数は米国の3分の1の水準だ。

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