本連載は、世界最大規模の学術出版社で情報分析企業でもあるオランダのエルゼビアのデータベースを用いて企業の研究力を測る。第2回では、SDGs(持続可能な開発目標)の目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」を取り巻く研究や技術革新の展望と、日本企業の貢献について分析する。

再生可能エネルギーなどのクリーンエネルギーの重要性が増している(写真/Shutterstock)
再生可能エネルギーなどのクリーンエネルギーの重要性が増している(写真/Shutterstock)

 連載第1回で示したデータにもあるように、SDGsの目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」は、日本企業の論文数が世界7位と、比較的日本企業の存在感が大きい分野だ。またクリーンエネルギーは地球温暖化対策の要となることから、目標7は目標13「気候変動に具体的な対策を」とも密接に絡んでいる。

 1903年にノーベル化学賞を受賞したスウェーデンの科学者スヴァンテ・アレニウスは1896年に、大気中の二酸化炭素(CO2)濃度が気温に影響を及ぼすことを明らかにした。いわゆる温室効果だ。温暖化ガスには、水蒸気、二酸化炭素、メタン、オゾンなどがある。2021年のノーベル賞で日本出身の眞鍋淑郎氏が物理学賞を共同受賞した研究内容は、人間の化石燃料消費による炭素排出が、地球温暖化の主因となっていることを明らかにした。人類と自然が共存できる気候を維持するためには、大気中へ排出する温暖化ガス量と、大気中から吸収・除去する温暖化ガス量が均衡を保っている必要がある。この状態を「ネットゼロ」と言い、気候変動に関する議論において重要なキーワードとなっている。世界の温暖化ガス排出量の約3分の2がエネルギー生成のための化石燃料の燃焼に起因しており、ネットゼロ達成のためにはSDGsの目標7で示されているクリーンエネルギーの推進が重要である。

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