今やほぼすべての企業が口にする「SDGs(持続可能な開発目標)」。その状況下、日本企業は最前線に立つために何をしているのか。工学博士で、世界最大規模の学術出版社で情報分析企業でもあるエルゼビアのアンデーシュ・カールソン氏が、論文や特許などのデータから、日本と国内企業の技術力を分析する。

(写真/Shutterstock)
ほとんどの企業がSDGsについて言及する時代になった(写真/Shutterstock)

 まだ記憶に新しい東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会は、史上初めてゼロエミッション(排出ゼロ構想)と持続可能性を掲げた大会でもあった。聖火は、福島県で太陽エネルギーから作られた水素を燃料とし、メダルの材料の一部には「都市鉱山」として日本中から集められた古いガラケーが使われた。かく言う筆者も、ガラケーを寄付した一人だ。これらの演出に影響を与えているのが、昨今のビジネスで重要なキーワードになっている「持続可能な開発目標(SDGs)」だ。

 SDGsの原点は、1987年の国連会議で、ノルウェーの元首相グロ・ハーレム・ブルントラント氏が「将来の世代の欲求を満たしつつ、現在の世代の欲求も満足させるような開発」と持続可能な開発を定義したことに遡る。それから約30年後の2015年、国連は2000~15年に使われていた「ミレニアム開発目標(MDGs)」の後継として、17項目の「持続可能な開発目標(SDGs)」を採択した。

SDGsの17目標(外務省のウェブサイトから)
SDGsの17目標(外務省のウェブサイトから)

 SDGsでは、それを評価するための169項目の達成基準(ターゲット)、そして進捗を評価するための232項目の指標が定められている。ビジネス界の用語で言えば、ターゲットはKPO(重要業績目標)、指標はKPI(重要業績評価指標)のようなものだ。もちろん、企業にとってサステナビリティーは目新しいものではない。日本では、「共生」の概念は何百年も前から存在しており、SDGsは新しい見方であり、新たな指標にすぎないのだ。

 17年11月になると、経団連が「企業行動憲章」の中で、モノのインターネット(IoT)や人工知能(AI)、ロボティクスなどの日本の強みを社会の利益につなげるための核となる概念としてSDGsを掲げた。これが日本の産業界におけるSDGs推進の大きな後押しとなった。その結果21年には、SDGsについて言及しない企業のほうが珍しくなっている。

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