液晶モニターで多くのユーザーを持つベンキューは、「東京ゲームショウ2021 オンライン」のリアル展示会場に、同社が展開するゲーミングモニター「MOBIUZ」「ZOWIE」、4K HDR対応のゲーミングプロジェクターを出展。同社のゲーミングモニター製品の充実ぶりをアピールするブースとなっていた。

向かって左に「ZOWIE」、右に「MOBIUZ」、中央に4K HDR対応ゲーミングプロジェクター「TK700STi」を展示していたベンキューブース。「ゲーミングモニター」としてくくられる製品の広がりを感じられるブースだった
向かって左に「ZOWIE」、右に「MOBIUZ」、中央に4K HDR対応ゲーミングプロジェクター「TK700STi」を展示していたベンキューブース。「ゲーミングモニター」としてくくられる製品の広がりを感じられるブースだった

 「人と競う」形式のコンピューターゲームはそれこそ黎明(れいめい)期から存在したが、近年のeスポーツという文脈の発生と、そこに熱中するユーザーの増加は、「勝つための道具選び」という新たなマーケットを開拓した。より高品質なゲーミンググレードの製品が今は市場をにぎわせている。

 ゲーミング環境は家庭用ゲーム機とPCに大別できるが、どちらでも共通して使う周辺機器の代表格が「ゲーミングモニター」だ。入力された映像信号を遅延なく処理し、高いリフレッシュレートで反応、表示する液晶パネルを用いた製品。演算によって描き出されるゲーム内世界をいかに素早く映像としてプレーヤーに伝えるかを重視した設計が特徴だ。

 ベンキューはそんな液晶モニターを世に出すメーカーの1つ。同社では、「MOBIUZ」と「ZOWIE」という2つのシリーズのゲーミングモニターを展開している。両者には明確なコンセプトの違いがある。

ストイックなZOWIE、音響にも力が入ったMOBIUZ

 まずはZOWIE。このシリーズはeスポーツ会場などでの使用を想定したようなストイックなシリーズ。24インチから27インチのTNパネルを使用し、解像度はフルHDまでに抑えつつ、144Hzから240Hzと高いリフレッシュレートを実現している。

 ZOWIEシリーズが備える一目で分かる個性が、画面の左右に張り出した「アイシールド」だ。ワンタッチで着脱できる樹脂製の板で、モニター背後の景色を視界から排除し、画面に意識を集中させるためのもの。モニターの背後に多くの観客が座っているeスポーツ会場でも気を散らされにくいというわけだ。

240Hzまでの製品が選べる「ZOWIE」シリーズは、左右に張り出した「アイシールド」が特徴。現行モデルでは上にスライドするだけで簡単に取り外せる
240Hzまでの製品が選べる「ZOWIE」シリーズは、左右に張り出した「アイシールド」が特徴。現行モデルでは上にスライドするだけで簡単に取り外せる

 一方のMOBIUZは全モデルに2.1ch、あるいは2chのスピーカーが搭載されているのが特徴だ。独自技術によって、スリム型のモニターでも本格的なサウンドが楽しめるという。リフレッシュレートは144Hzから166Hzと突き抜けたものはないが、パネルには発色のよいIPSやVAを用い、解像度もフルHDからWQHD(2560×1440)に対応。34インチで3440×1440ドットの製品まで取りそろえる。

 また、画面下部に搭載したセンサーで周辺の明るさを検出し、表示される映像の色彩やコントラストをチューニングして表示する機能があること、フラットな画面のモデルだけでなく、湾曲した画面のモデルも用意しているところも見逃せない。湾曲した液晶のモデルは画面と目の距離を適切に取ることによって視界すべてを画面で覆うことができる。ZOWIEシリーズとはまた違った方向で“没入感”を高める試みがなされている。

「MOBIUZ」シリーズの「EX3415R」。34インチで3440×1440ドットという解像度のIPSパネルを採用した、超ワイド画面のモデル。PinP機能を備えており、写真のようにゲーム機やPCの画面とタブレットの画面を同時に表示することもできる
「MOBIUZ」シリーズの「EX3415R」。34インチで3440×1440ドットという解像度のIPSパネルを採用した、超ワイド画面のモデル。PinP機能を備えており、写真のようにゲーム機やPCの画面とタブレットの画面を同時に表示することもできる
「MOBIUZ」シリーズは全モデルで2ch、あるいは2.1chのスピーカーを搭載。ゲームやシネマなど、映像に合わせたサウンドモードが選択可能。2.1ch対応のモデルは背面のこの位置に5Wのウーファーを装備している
「MOBIUZ」シリーズは全モデルで2ch、あるいは2.1chのスピーカーを搭載。ゲームやシネマなど、映像に合わせたサウンドモードが選択可能。2.1ch対応のモデルは背面のこの位置に5Wのウーファーを装備している

 ブースのスタッフに質聞いたところ、「大まかに言って、リフレッシュレートの高いZOWIEはFPS(ファーストパーソンシューティング)に最適。発色の良さ、湾曲モデルが特徴のMOBIUZはオープンワールドのRPG(ロール・プレイング・ゲーム)やレーシングゲーム、スポーツゲームに向いている」とのことだった。

 会場内で展示していたプロジェクター「TK700STi」も“ゲーミング”と銘打たれた製品の1つだ。映像の投写には、デジタル制御された鏡に光を当てて像を結ぶDLP方式を採用。4K HDRの映像に対応し、投写サイズは60~200インチまで。2メートルの距離で100インチサイズで投写が可能な単焦点設計だ。

 「高速モード」をオンにした場合、1080P/240Hz動作時に最短4.16ミリ秒に遅延を抑えられることもTK700STiの特筆すべき点。まさにゲーミングと名乗るのにふさわしいスペックと言える。プロジェクターとして重要な輝度も3000ルーメンと高い。照明を落としていない明るいブース内で、しかも専用スクリーンではなく白いパネルに投影して、十分に見えるだけの明るさを実現していた。

 自分のプレースタイルや遊ぶゲームのジャンルを考えて、より最適なモデルを選択できる豊富なラインアップ。ベンキューブースからはゲーミングモニターという製品分野の成熟が感じられた。

プロジェクター「TK700STi」は、実売価格22万円前後と決して安くないが、ゲーミングの名にふさわしい高スペック。明るいブース内の白いパネルに投影しても鮮明な映像を投写することができていた
プロジェクター「TK700STi」は、実売価格22万円前後と決して安くないが、ゲーミングの名にふさわしい高スペック。明るいブース内の白いパネルに投影しても鮮明な映像を投写することができていた

(写真/稲垣 宗彦)

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