セガは2021年10月1日、「東京ゲームショウ2021 オンライン」の公式番組「セガにゅー #TGSスペシャル」にて、新作RPGを発表した。正式リリースは21年12月15日予定。クローズドβテストの参加者募集を10月7日(木)まで実施するという。
ゲームショウ開幕の2週間前にあたる2021年9月17日、セガは新作RPGのティザーサイトをオープンし、ティザートレーラーと公式Twitterを公開した。その際、詳細を東京ゲームショウ2021 オンライン(TGS2021 ONLINE)の公式番組内で発表するとアナウンスしていたため、この日を待ち望んでいたゲームファンは多かったはずだ。
21年10月1日(金)22時から配信されたセガの公式番組「セガにゅー #TGSスペシャル」は、セガとアトラスの最新情報を紹介する「セガにゅー」パートと、「セガ 新作RPG発表会」の2部構成で行われた。
パートナー各社からも魅力の新作登場
「セガにゅー」パートには、MCを務めるフリーアナウンサーの田口尚平とタレントの西村歩乃果に加え、セガやアトラスの社員も登場。TGS2021 ONLINEの出展内容や最新タイトルを取り上げたほか、MCの2人が『LOST JUDGMENT:裁かれざる記憶』のミニゲームを実機プレー。Twitterで話題になったダンスゲームで対決した。
主な注目タイトルとして、21年11月11日に発売を控えたアトラスの『真・女神転生V』、セガパートナーズであるアニプレックスからまもなく発売となる『鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚』、20年にパートナーシップを締結したスウェーデンのゲームデベロッパー、パラドックスインタラクティブの新作『サバイビング・ジ・アフターマス -滅亡惑星-』などの最新情報が紹介された。
『真・女神転生V』は、Nintendo Switchより発売予定のナンバリング最新作。「女神転生」シリーズではおなじみとなった「プレスターンバトル」が引き続き採用されている。プレスターンバトルとは、コマンドによって行動回数が増減するバトルシステムで、相手の弱点を突くことができると「いわゆる“ずっと俺のターン”も可能」(公式番組に登場したアトラス寺崎氏)だが、敵から弱点攻撃を受けると一転して不利な戦況になる。本作でも緊張感のあるバトルは健在のようだ。
『鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚』は、アニメ「鬼滅の刃」の物語を主人公・竈門炭治郎となって追体験できるソロプレイモードと、アニメ本編に登場するキャラクターから2キャラを組み合わせた2対2で対戦できるバーサスモードが楽しめる。TVアニメ「鬼滅の刃」遊郭編が21年12月から全国フジテレビ系列で放送されることもあり、注目が高まりそうだ。
『サバイビング・ジ・アフターマス -滅亡惑星-』は、シミュレーション・ストラテジーゲームに定評のあるパラドックスインタラクティブの最新作。世界滅亡後の未来を舞台に、自分だけのコロニーを建設しながら大災害に備えて生き残りを目指す、サバイバルシミュレーションゲームだ。2022年初頭に日本およびアジア地域向けに発売予定だという。
セガ新作は「やり直し不可能」な物語
番組の後半50分ほどは、事前に告知された通り、セガの新作RPG発表会が行われた。この時点ではまだタイトルも公表されていなかったため、最初にタイトル発表用のトレーラーが放送された。
新作RPGのタイトルは『シン・クロニクル』。タイトルからも連想できるように、セガのスマートフォンRPG「チェインクロニクル」シリーズの後継作にあたるという。「チェインクロニクル」はサービス開始から9年目を迎え、累計2500万ダウンロードを突破したセガの人気シリーズだ。コメント欄を見ていると、セガの新作RPGがスマホゲームだと知って驚いた視聴者も多かったようだ。
総合ディレクターの松永 純氏は、後継作の意味を「続編ではなく、まったく新しい世界、ストーリー、ゲームシステムになっている。チェインクロニクルを知らない方も一から楽しめる内容になっている」と説明。「では何が『後継作』なのかと言うと、チェインクロニクルで好評だった、スマホなのにあっと驚くような本格的なゲーム体験を受け継いでいる」と語った。
『シン・クロニクル』のティザートレーラーでは、「RPGとは、なにか。」という言葉から始まり、既存のRPGに対する課題意識が語られる。RPGとは、未知なる世界を進む冒険の旅ではないのか? それなのに、今ではストーリーは一本道で、引き返して何度もやり直すことができる。本当に、これでいいいのか? 制作陣がそう問い直した結果生まれたのが、この『シン・クロニクル』ということだ。
それ故に、本作はやり直しのきかないゲームシステムになっている。
まず、プレイヤーは章ごとのクライマックスで究極の選択を迫られる。2人の仲間のうちどちらを信頼するのか、世界を救うのか仲間を救うのか、といった感じだ。この決断は、一度したら取り消すことができない。選択した瞬間にサーバーに記録されるため、変更は不可能なのだという。もちろん、プレイヤーの選択は随時追加されるストーリーにも影響する。
仲間になるキャラクターのうち、誰をパーティに加えるのかもプレイヤーの「選択」だ。パーティの編成によってストーリーも変化する。ゲームファンの中には、分岐するストーリーやイベントを複数のセーブデータを駆使してすべて回収するのが楽しみな人もいる。残念ながら、『シン・クロニクル』ではそれができない。
2人のヒロインのキャラクターボイスを、どちらも声優の悠木碧が演じる点にも注目だ。それぞれが白と黒を基調とした衣装で、対をなすデザインについあれこれ妄想したくなるが、ここで松永氏がはっきりと「ヒロインは(最終的に)どちらかしか選べない」と断言。どちらかを犠牲にすることになるのか、単に同じパーティで行動できなくなるということなのか、真相を知るにはリリースを待つしかない。
新作発表会の後半には、ゲームの試遊も行われた。本作にはRPGスタッフに加えてアクションゲームの開発スタッフが参加しており、バトルシーンは爽快感を意識して作られているという。戦略が必要な場面もあるが、基本的には「ボタンを連打するだけでも楽しめるようになっている」(松永氏)。
後半、特に視聴者を驚かせたのが、ゲーム音楽を担当するコンポーザーの発表だった。
メインコンポーザーは、アニメ『メイドインアビス』の音楽を手がけたケビン・ペンキン氏が担当。そして、各章のクライマックスシーンを担当するゲストコンポーザーに、伊藤賢治氏(「ロマンシング サガ」シリーズなど)、浜渦正志氏(『FINAL FANTASY XIII』など)、下村陽子氏(『ストリートファイターII』など)、甲田雅人氏(「モンスターハンター」シリーズなど)、光田康典氏(『クロノ・トリガー』など)、古代祐三氏(「世界樹の迷宮」シリーズなど)とゲーム音楽界の重鎮の名前が並ぶ。
クライマックスではプレイヤーの「選択」が迫られるので、ゲストコンポーザーのBGMは毎章どちらか一方しか聴くことができない。豪華すぎる顔ぶれだけに、ここでもプレイヤーを悩ませそうだ。
最後に、松永氏より本作にかける思いが語られた。
「スマートフォンゲームは毎日手軽に遊べる反面、映画やコンシューマーゲームと比べると軽く思われがち。そうではなく、プレーしたら一生心に残るような物語体験をしてほしい。それをあえて、スマートフォンだからこそできる形で用意した。自分だけの、1度きりの物語が続いていく感覚をぜひ味わってほしい」
『シン・クロニクル』は10月1日より事前登録が開始されているほか、10月7日までクローズドβテストの参加者を募集している。メインストーリーの1章をプレーすることができるという。正式リリースに先駆けて、「究極の選択」を体験してみてはいかがだろう。
(写真提供/セガ)
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