佐賀県・上峰町が進める大型商業施設跡地の活性化・再開発事業の具体像が見え始めた。上峰町は2022年12月6日、跡地に整備する定住促進住宅の建設をPFI(Private Finance Initiative)方式で進めると発表した。上峰町が施設のイメージを公開するのは初めて。施設を建設する民間事業者は、今後選定する。
上峰町は、官民連携で設立した合同会社(LLC)の合同会社つばきまちづくりプロジェクトが中心となって進める「LABV(Local Asset Backed Vehicle、官民協働開発事業体)」方式で中心市街地づくりを進めている。広大な事業用地に、商業施設、農産物直売所、運動施設、学びの場や芝生公園などをつくる構想だ。施設イメージ図を見ると、周辺には緑が多く、調整池の機能を持つ公園のような部分も隣接する。
事業資金は民間が調達するが、国からの交付金を最大限に活用するためにPFI方式で進める計画だ。建設費の最大45%は国から交付金が得られるため、残りの55%を家賃収入などから返済すれば町の負担が少なくて済むからだ。
武広勇平町長は、「このやり方なら、町の負担はなく、付加価値の高い建物を民間の活力で建設できる。資金調達の自由度が高く、民間からの資金や寄付金を活用できるので、小さな町でもしっかりとした未来がつくれる」と説明する。
定住促進住宅は、国土交通省の地域優良賃貸住宅制度を使って建設する。「どこの市町村でも使える補助制度で、地域の優良な賃貸住宅を市町村につくるという趣旨なので、居住者の収入制限がそんなに低くないのが特徴」と話すのは財津勝記副町長だ。「高齢者や障害者、子育て世帯など、ある程度配慮が必要な人たちに良好な賃貸住宅に入ってもらうほか、町の外から上峰町に入ってきてもらうことも大きな目的。上峰町では30~40代の子育て世帯の転出が多い。近隣の町には3LDKで駐車場2台付き、月額5万円代前半の家賃で住める住宅もでてきている」と財津副町長。上峰町の人口は2022年11月時点で9780人。町では1万人を目指しており、新たな住宅を定住促進の足がかりに活用する。
12月6日に開催した記者会見で財津副町長は「快適な賃貸住宅とほかの商業施設が一緒にくっついてくる。街なか居住の恩恵を受けていただければ」と新たな住宅建設への思いを語った。
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