
三井不動産は、東京・日本橋や豊洲、千葉・柏の葉を舞台に月定額のサブスクリプション型MaaSの実証実験を繰り返し行っている。不動産会社としてMaaSに本腰を入れるのは、町中の移動をスムーズにし、利用者が町全体の魅力に気づく機会を生み出す狙いがある。実証実験を行い、それぞれの地域に最適化した形でサービスを提供することがMaaS普及の鍵になりそうだ。
三井不動産は2020年12月、便利な移動を実現することで町を活性化すべく、「不動産×MaaS」の取り組みを拡大することを発表した。アプリはフィンランドのMaaSグローバル「Whim(ウィム)」を活用する。モビリティーサービスは、タクシーやバス、シェアサイクル、カーシェアリングとしている。20年9月から千葉・柏の葉で行った実証実験を踏まえて、20年末から21年にかけて行った日本橋・豊洲では料金プランを次のようにした。月額1万円(税込み、以下同)で1万2000円分の乗車が可能な「Whim 10 プラン」、月5000円で6000円分使える「Whim 5 プラン」、月2000円で2400円分使える「Whim 2 プラン」。それぞれの交通サービスに利用制限はなく、乗車ごとに料金分が差し引かれるサブスクリプション型のMaaSだ。
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「今までは電車やバスなど移動手段に対して個別に手配、料金支払いをしていたが、(MaaSの世界では)1つのアプリを通じてさまざまな交通手段を検索から予約まで一括でできるようになる。これをうまく使いこなすことで便利な世界が訪れるのではないか」。三井不動産ビジネスイノベーション推進部主事の門川正徳氏は、期待を寄せる。
三井不動産が2020年9月から21年1月にかけて実証実験を行った千葉・柏の葉のマンション「パークシティ柏の葉キャンパス」では、“マイカー離れ”の傾向が顕著だ。約7割がマイカーを持たず、自転車さえ保有していない人の割合も約5割に及ぶ。便利な駅近マンションとはいえ、カーシェアリングやシェアサイクルなどを気兼ねなく使えれば、より地域の移動は活性化される。
三井不動産がMaaSに参入する狙いとは
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