MaaS2021:アフターワクチンの移動革命 第2回(写真)

JR東日本は2021年7月6日から9月30日までの期間で、Suicaの通勤定期券利用者を対象にサブスクリプションサービス「JREパスポート」のトライアル提供を行った。その中のプランの一つである「コーヒープラン」の利用回数は、月平均27.7回という驚きの成果が得られた。“定期券離れ”が進んだコロナ禍で、駅利用を呼び込む効果が見えてきた。

JREパスポート
JR東日本は2021年7月6日から9月30日までの期間で、Suicaの通勤定期券利用者を対象に「JREパスポート」のトライアル提供を行った

 月の平均利用回数は27.7回。これはJR東日本によるサブスクサービス「JREパスポート」で、エキナカのカフェ「BECK’S COFFEE SHOP(ベックスコーヒーショップ)」が利用された際のデータだ。分母が大きく異なるため単純比較はしづらいが、通常のベックスコーヒー利用者(Suica利用)は、上位10%の顧客層で月平均7回という。それと照らし合わせると、サブスクの利用促進効果の大きさがうかがえる。

前回(第1回)はこちら

 JR東日本は21年7月6日から、JREパスポートのトライアル提供を開始した。JR東日本エリア内の通勤定期券をSuicaで利用している人を対象に、コーヒーや駅そばのトッピング、シェアオフィスを定額制で利用できるサブスクサービスだ。コーヒーはベックスコーヒー、駅そばは「いろり庵きらく」で、それぞれのプランに加入する形。いずれも、上野駅、秋葉原駅、八王子駅にある店舗が対象となった。シェアオフィスは駅を問わず、すべての「ステーションブース」が対象。JREパスポートは、サブスクプラットフォームを提供したfavy(ファビー、東京・新宿)が展開する専用サイトを通じて購入し、利用する際にその会員証を提示して特典を受け取る仕組みだ。

コーヒー画面提示
専用サイトを通じてJREパスポートを購入し、利用する際にその会員証を提示すると特典が受けられる(写真提供/favy)

 一番人気を集めたのがコーヒーサブスクだ。上記3駅のベックスコーヒーショップで、月額2500円(税込み)でブレンドコーヒーかアイスコーヒーのMサイズ1杯が1日3回まで飲める「コーヒープラン」、コーヒーを注ぐマイボトルを持参した人には同じ条件で月額1500円(税込み)の「マイボトルプラン」を用意した。

【特集】MaaS2021:アフターワクチンの移動革命
【第1回】 JAL、JR東海もMaaS参戦 宣言解除後の「移動マーケ」3つの新潮流
【第2回】 JR東「通勤定期×飲食サブスク」の衝撃 月平均27回超のカフェ利用 ←今回はココ
【第3回】 パリからクルマが消えた!? withコロナの移動復活の鍵とは

 コーヒープランを最も多く利用した人は、1カ月で87回に上ったという。ほぼ毎日、3回利用している計算だ。JR東日本事業創造本部グループ経営推進部門次長の市原康史氏は、「(従来の駅利用者とは異なる)全く新しいニーズが生まれている」と驚きを隠さない。

JR東がサブスクを導入したワケ

 JR東日本がサブスクに乗り出した背景には、「Beyond Stations構想」がある。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で外出自粛が呼びかけられ、移動が制限されてきた。その影響で定期券収入が減少するなど、鉄道会社にとって大打撃となった。テレワーク推進にも拍車がかかっており、コロナ禍以前の通勤スタイルが完全に復活する見通しも立ちにくい。

 そのような状況下で鉄道会社としてできるのは、「人が駅に来てくれるように駅自体の魅力を上げていくこと。沿線に住んでよかったと思ってもらえるような暮らしをつくっていくこと」(市原氏)。そうした発想の下、駅を暮らしのプラットフォームとしていく取り組みがBeyond Stations構想だ。

ビヨンドステーション構想
「Beyond Stations構想」では、駅を暮らしのプラットフォームと捉える

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