文章だけでは伝わりにくい説明も、図で視覚的に表現すると理解しやすくなる。ワードには作図の機能があり、用途に応じてさまざまなタイプの図を作成できる。レポート、企画書、報告書、説明書など、説得力が必要な文書では、図を積極的に使おう。

※書籍『伝わるWord資料作成術』を再構成

 ワードで作図をする方法は2つある。1つは「図形」を組み合わせる方法(図1)、もう1つは「スマートアート」のひな型を使う方法だ(図2)。図1と図2はどちらもオンラインショップの利用手順を示した流れ図。同じ内容を異なる方法で作成した。

自由にデザインできる「図形」、ひな型が魅力の「スマートアート」

 図形を使う方法では、四角形、三角形、テキストボックスなどをパーツとして描き、それらを組み合わせて図を構築していく。アイコンなどの素材も自由に利用できる。作例では、まず複数のパーツを組み合わせて1つめの手順を作った(図1上)。それを4つコピーして並べ、5つの手順を流れ図に仕上げた(図1下)。ピクトグラムとして配置したアイコンは、各手順の内容に合わせて変更している。

 スマートアートでは、用途に応じたひな型を使って図を作成する。ひな型のレイアウトは、入力内容に合わせて自動調整されるので、図形を描いたり並べたりする操作は不要。配色や視覚効果などのスタイルも、候補から選ぶだけで設定できる。作例では、手順のひな型「波型ステップ」を選び(図2上)、文字列を入力して色などのスタイルを自動設定した(図2下)。

 どちらの方法を使うかは、図の内容やデザインによって考えよう。図形のメリットは、図のデザインを自由に決められるところ。型にはまらない変則的な図も作成でき、操作もコツをつかめばそれほど難しくない(図3)。スマートアートのメリットは、とにかく作図が簡単なこと。ひな型には定型的なレイアウトが多いので、内容に合うものがあるかどうか、まずは探してみるといいだろう(図4)。

図形の操作はテキストボックスと同じ

 図形の作成方法は、第5章のテキストボックスと同じだ。「挿入」タブの「図形」メニューから図形の種類を選び、ドラッグで描く(図5)。作図でよく使う正方形や正円などは、クリックまたは「Shift」キー+ドラッグで描ける。図形の種類は豊富なので、たいていの作図には困らない。フローチャートに使う専用の記号も用意されており、作業フローなども正確に作成できる。

 スタイルの設定方法も、テキストボックスとほぼ同じ。塗りつぶしの色や枠線のスタイルなどは「図形の書式」タブで指定する(図6)。作業ウインドウを開くと、「図形の書式」タブのメニューにない線の太さや矢印のサイズなども指定できる。

 作図では、図形の回転や反転をよく使う。角度は「オブジェクトの回転」メニューで90度単位に変えられ(図7)、反転も同じメニューで実行できる(図8)。なお、角度を数値で決める場合は、メニューから「その他の回転オプション」を選び、表示されるダイアログボックスで「回転角度」を指定する。

図形:パーツを自由に組み合わせる
図形:パーツを自由に組み合わせる
図1 図形を使う場合は、四角形や三角形、テキストボックス、アイコンなどのパーツを作成し、それらを組み合わせて図を構築していく。パーツの配置やスタイル設定を自由に決めることができる
スマートアート:ひな型を利用して手早く作る
スマートアート:ひな型を利用して手早く作る
図2 スマートアートを使う場合は、用途に応じたひな型を選んで作成する。パーツの配置やスタイルを自動で設定でき、手早く作図ができる
図形は変則的な図解に向いている
図形は変則的な図解に向いている
図3 図形を使うと、読み手にアピールしたい情報なども、内容に応じてビジュアル化できる(上)。ひな型に当てはまらない独自のチャートも、図形を組み合わせて自由に作図できる(下)
スマートアートは定型的な図解に向いている
スマートアートは定型的な図解に向いている
図4 スマートアートは、プロセスのチャートや画像入りのリスト、会社の組織図など、ビジネス文書でよく利用する定型的な図を作成するのに便利。タイトル文字などは、テキストボックスで追加できる
「図形」メニューから種類を選んで描く
「図形」メニューから種類を選んで描く
図5 「挿入」タブの「図形」メニューを開き、図形の種類(ここでは「正方形/長方形」)を選ぶ(1)〜(3)。図形を作成する位置を斜めにドラッグし、図形の大きさを決める(4)。なお、作成位置をクリックするか、「Shift」キーを押しながらドラッグすると、高さと幅が同じサイズの図形(ここでは正方形)が作成される(5)
「図形の書式」タブや作業ウインドウでスタイルを設定する
「図形の書式」タブや作業ウインドウでスタイルを設定する
図6 図形の選択中は、「図形の書式」タブに色などを変更するコマンドが表示される。テキストボックスと同じように、サイズを数値で指定することも可能。また、「図形の書式設定」ボタンで「図形の書式設定」作業ウインドウを開き、線の太さや矢印のサイズなどを細かく変更することもできる
「回転」や「反転」で向きを変える
「回転」や「反転」で向きを変える
図7 図形の向きを変えるときは、「図形の書式」タブの「オブジェクトの回転」メニューから角度と方向を選ぶ(1)〜(3)。ここでは右へ90度回転した(4)。図形の上部の回転ハンドルをドラッグしてもよい
図8 反転で図形の向きを変えることもできる。「図形の書式」タブの「オブジェクトの回転」メニューから反転の方向を選ぶ(1)〜(3)。ここでは左右の方向に反転した(4)
図8 反転で図形の向きを変えることもできる。「図形の書式」タブの「オブジェクトの回転」メニューから反転の方向を選ぶ(1)〜(3)。ここでは左右の方向に反転した(4)
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