フォントは、画面表示や印刷に使う書体デザインのこと。文章の読みやすさを決めるだけでなく、文書の雰囲気を担う要素でもある。ワードには数多くのフォントが用意されているので、それぞれの特徴を覚えて上手に使い分けよう。文書の内容とフォントのイメージがうまく合うと、作り手の意図が伝わって説得力も増す。

※書籍『伝わるWord資料作成術』を再構成

 フォントの書体デザインは「明朝体」と「ゴシック体」の2つに大別され、形の特徴とイメージが異なる(図1)。明朝体は強弱のあるデザインで読みやすく、本文などの長文に向く。一方、ゴシック体は太さが均一なデザインで目に付きやすく、タイトルや見出しなどの短文に向いている。

 同じ明朝体の書体デザインでも、フォントにはさまざまな種類があり、さらに太さ違いなどのバリエーションに分かれている場合もある(図2、図3)。本文には線の細い「游ゴシックLight」、見出しには「游ゴシックMedium」のように、同じフォントを太さ違いで使い分けるのも効果的だ。このほか、文字幅の異なるバリエーションが用意されているフォントもある。状況に合わせて使い分けよう。

本文は読みやすさを優先、見出しに「游ゴシックLight」は使わない

 一般的なビジネス文書では、本文を明朝体、タイトルや見出しをゴシック体で表示するのが基本(図4、図5)。ただ、最近はさまざまなフォントが開発されていて、一概には言えない状況だ。本文と見出しのフォントを決めるときは、線の太さも1つの目安にしよう。本文に細いゴシック体を使うと、文書はよりカジュアルな雰囲気になる。タイトルを太めの明朝体にして、柔らかさを演出するのもよい。

 見出しフォントと本文フォントの相性も大事(図6)。タイトルや見出しに線の太いフォントを使うときは、本文もゴシック体にするとバランスが良い。ただし、「MSゴシック」のような本文向きでないフォントの使用は控えよう。

「明朝体」と「ゴシック体」の特徴
「明朝体」と「ゴシック体」の特徴
図1 ワードの標準として使われる游フォントを例に、明朝体とゴシック体の特徴を比較する。明朝体は縦線より横線が細く、線の端に「ウロコ」がある。ゴシック体は縦線と横線の太さが均一で、線の端は直線的な形状が多い。イメージも明朝体はフォーマル、ゴシック体はカジュアルと対照的だ
複数のフォントとそのバリエーションがある
複数のフォントとそのバリエーションがある
図2 ワードには複数のフォントが用意されていて、標準機能として使用できる。それぞれのフォントには、線の太さ(ウエイト)などが異なるバリエーションが用意されている場合もある
同じフォントのバリエーション 【線の太さが異なる】
同じフォントのバリエーション 【線の太さが異なる】
図3 游フォントには、明朝体とゴシック体それぞれに太さ違いのバリエーションがある。「游ゴシックLight」や「游ゴシック」は、一般的なゴシック体に比べると線が細く、長文にも使えるフォントだ
本文の基本は明朝体、線の細いゴシック体も読みやすい
本文の基本は明朝体、線の細いゴシック体も読みやすい
図4 複数行にわたる長い文章には、「游明朝」のような明朝体が適している。ただし、ゴシック体でも「游ゴシックLight」のように線が細いフォントは本文向きだ。「HG丸ゴシックM-PRO」は親しみやすいが、線がやや太めなので読みやすさはいまひとつ。「ポップ体」のように線の太いフォントは本文には不向きだ
見出しの基本はゴシック体、タイトルは線の太い明朝体も〇
見出しの基本はゴシック体、タイトルは線の太い明朝体も〇
図5 タイトルや見出しには、目に付きやすいゴシック体が適している。ただし、標準フォントの「游ゴシックLight」は線が細すぎる。「游ゴシックMedium」や「HGS創英角ゴシックUB」などを利用しよう。タイトルは、「HGS明朝B」のような線の太い明朝体でもよい
見出しフォントと本文フォントの相性を考える
見出しフォントと本文フォントの相性を考える
図6 文書内で複数のフォントを使うときは、フォント同士の相性もよく考える。タイトルと見出しを「HGS創英角ゴシックUB」などの太いフォントにしたときは、本文を「游ゴシック」などの細めのゴシック体にすると、全体のデザインに統一感が出る
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