
2021年7月、東京・渋谷の地下街「しぶちか」に99円(税込み)で本格ドリップコーヒーを提供する店がオープンした。その実は、全国各地の名品を並べるショールームであり、空間の広告メディア化を目指した「売らない店舗」だ。6G(第6世代通信規格)時代の次世代店舗を見据えている。
激安ドリンクは常連客をつくるため
東京の渋谷駅前にあるスクランブル交差点の地下街は、戦後の露天商が移設し、靴やバッグなどを販売していた場所だ。それが2021年7月のリニューアルで、おしゃれな店も並ぶスポット「しぶちか」へと生まれ変わった。JRや東京メトロの乗り換え客でにぎわう通路を歩いていると「スペシャリティコーヒーが社長のムチャブリで一杯99円」と書かれた看板が目に入る。しぶちかのリニューアルと同時期にオープンした「AZLM CONNECTED CAFE(エーゼットエルエム・コネクテッド・カフェ、以下AZLM)」だ。
店内の看板が示す手順に従って専用アプリをスマートフォンにインストールし、AZLMの会員登録を済ませると、400円(税込み、以下同)の本格ドリップコーヒーが99円で購入できるようになる。アイスコーヒーやアイスティー、ソイミルク、キャラメルミルクなども99円だ。
AZLMの店舗面積は約50平方メートル。テナント料は非公表とのことだが、渋谷駅にほど近い場所と考えると安くはないはず。400円のドリンクを99円で販売してビジネスになるのか。カフェを運営するコネクテッドコマース(東京・渋谷)の中村武治社長は「十分に利益は出ている」と言う。
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実を言うと中村社長は、ドリンクで収益を上げようと考えていない。収益源は別のところにあるからだ。
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