
コロナ禍で非接触の接客が求められる中、D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)製品を売る手段として自動販売機ビジネスが加速している。「SNSで話題にしたい」「面白いものをプレゼントにしたい」という欲求をくすぐり、数千~1万円と自販機としては高額の商品が次々と売れていくという。
東京・渋谷の新名所「RAYARD MIYASHITA PARK」の2階。おしゃれなショップ群を抜け、休憩エリアの椅子に腰掛けると、大画面に女性がほほ笑むイメージ動画を映す桃色の機械が目に入る。その横には、ネックレスやブレスレットのショーケース。画面をタッチすると、アクセサリーの一覧が出てくる。
ネックレスが1万1000円(税込み、以下同)、ブレスレットは4950円。製品の写真をタッチすると製品説明のほか、ECサイトのような「ADD TO CART」というボタンが現れる。愛媛県宇和島市の真珠を使ったアクセサリーを売る自動販売機「PRENO」だ。クレジットカードやQRコードで決済すると、下の取り出し口から化粧箱に入った商品が出てくる。
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町中にある清涼飲料水の自動販売機の売り上げは月間5万~10万円と言われる。そうした自販機と比べて「PRENOではその20倍近くを売るときもある」。そう話すのは、運営会社PRENO(東京・渋谷)代表の肥沼芳明氏だ。従来の自販機は、飲料など単価が安い商品を主に扱ってきた。PRENOはアクセサリーのほか、コスメ、アート商品などやや高価な商品を販売する。「客単価はだいたい4000~5000円。1000円以下のものはむしろ売れない。安くて2000円くらい」(肥沼氏)という。
安い商品を売るだけでは、従来の自販機と大差がない。「自販機でパール買っちゃった」などと、おしゃれをしている自分の気持ちを“アゲる”ことができ、SNSに投稿したくなる商品を扱うことが重要だと、肥沼氏は語る。化粧箱も、高級感のあるデザインで入手した喜びを感じやすくしている。
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