
コーセーの通販事業子会社・コーセープロビジョン(東京・中央)は、化粧品ブランド「米肌(まいはだ)」を販売している。同ブランドは単独店舗を持たず、通販が主流。2021年8月から、ファン・コミュニティー・サイトの運営を始めた。SNSにあまり投稿しない層も巻き込んで、顧客が悩みを相談できる身近なタッチポイントとする狙いがある。
単独店舗はない。ブランド専門の美容部員(BC)もいない――コーセープロビジョンが展開する米肌は通販ブランドだ。2021年6月には、コーセーのコンセプトショップ「Maison KOSE銀座」内に顧客接点を得るための初の実店舗「米肌メンバーズサロン」をつくり、ブランド専門のBCを配置したが、それでも顧客との接点は限られている。
既存顧客との接点はメルマガやLINE、シーズンごとに送るダイレクトメールなど。新規顧客との接点はWeb広告が中心だ。このため、同ブランドで商品開発とファン・コミュニティー・サイトの運営を担当するコーセー マーケティング戦略部 米肌事業課の三浦瑛理菜氏は「愛用者の皆さんの声をもっと気軽に聞ける方法や、広告に頼らなくてもオーガニックにファンが集まる仕組みを構築できないかとずっと考えていた」と語る。
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そこで打ち出したアプローチが、ファン・コミュニティー・サイトの開設だ。米肌では、21年1月からのテスト期間を経て、同年8月に「“キレイ”を話そう いっしょに創ろう ファンコミュニティ」を本格スタートした。米肌のファン・コミュニティー・サイトでは、無料の会員登録後、サイト内の「トークルーム」に投稿して商品開発者に肌の悩みを相談したり、会員同士で交流したりできる。
SNSよりブランド特性に合う
化粧品ブランドでは、InstagramやTwitterといったSNSの活用も活発な中、米肌がファン・コミュニティー・サイトを開設したのは、ブランドの特性やその愛用者とのマッチングを考えた結果だ。化粧品ブランドには、シーズンごとに、思わず写真をシェアしたくなるようなカラフルな容器やきらびやかなケースの商品を投入するところが多いが、「米肌はパッケージで目を引いて、SNS映えするようなブランドではない。それよりも、商品の中身を気に入って自分の肌に合うと実感してくれた人が愛用してくれるブランド」(三浦氏)。
SNSには公式アカウントも設けているものの、顧客には美容やコスメについて積極的にSNSに投稿しないような層も多いとみる。「そういうお客さまには、オープンなSNSよりも、米肌好きな人だけが集まっておしゃべりするファン・コミュニティー・サイトのほうが合っているのではないか」(三浦氏)と判断したわけだ。
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