ファンコミュニティーサイトの理想型 第3回/全3回

会員制のウェブサイトで、企業と利用者あるいは利用者同士の交流を深めるファン・コミュニティー・サイト。もともとパーソナリティーとリスナーの距離が近く、ファンとの絆がつくりやすいといわれるラジオでも、ファン・コミュニティー・サイトの活用が始まっている。エフエム東京の「LisCom(リスコム)」がそれだ。狙いはコミュニティーの可視化。番組制作への活用や広告への展開も視野に入れる。

もともとコミュニティー色が強いラジオでもファンコミュニティーサイトの活用が始まっている(写真/Shutterstock)
もともとコミュニティー色が強いラジオでもファンコミュニティーサイトの活用が始まっている(写真/Shutterstock)

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 「はがき、メール、SNSなど、ラジオ局では時代に合わせたツールでファンと交流してきた。ファン・コミュニティー・サイトもそこに加わるツールの1つ」。エフエム東京コンテンツビジネス本部デジタル戦略局データマーケティング部の小田紀和氏は、「LisCom」をそう位置づけた。

 LisComとは、エフエム東京が2021年7月に開設したファン・コミュニティー・サイトのことだ。主に、TOKYO FMおよび同局番組のリスナーに向けたもので、登録すれば誰もが無料で参加、投稿できる。

2021年7月に開設されたTOKYO FMのリスナー向けファン・コミュニティー・サイト「LisCom」
2021年7月に開設されたTOKYO FMのリスナー向けファン・コミュニティー・サイト「LisCom」
【特集】ファンコミュニティーサイトの理想型

 サイト内には、テーマごとに掲示板をつくれる「サークル」という機能があり、同局やその番組、参加者が自由にサークルを立ち上げている。

 同局や番組主導のサークルでは、進行役のモデレーターを通じ、スタッフがトピックを投稿。参加者がコメントを書き込む。例えば、平日朝6時から9時まで放送している番組「ONE MORNING」のサークル「ONE MORNINGルーム」では、モデレーターが番組の内容にちなんで「モーニングルーティンを書き込もう!」「いまハマっているもの【生放送で紹介するかも】」といったトピックを立てている。

サークルにはコミュニティー参加者の会話を促す進行役のモデレーターを設定する。画像はLisCom全体のモデレーターを務める「おと」(左)と「りすこ」(右)
サークルにはコミュニティー参加者の会話を促す進行役のモデレーターを設定する。画像はLisCom全体のモデレーターを務める「おと」(左)と「りすこ」(右)

 一方、参加者主導のサークルのテーマはさまざま。好きなラジオ番組から好きな音楽、作家、ラーメンまで、参加者自身がテーマを掲げた掲示板をつくり、他の参加者がコメントしていく。ラジオやTOKYO FMに関係ないテーマも含め、参加者同士が自由に交流している。

 開設時からTwitterや番組公式サイトなどで参加を呼びかけ、開設から約3カ月がたった21年10月28日時点の参加者数は1万865人、投稿数は1万8611件を超えた。

ファンの声を可視化、AIで分析

 「ラジオはもともとリスナーとの距離がとても近いメディア」とエフエム東京の執行役員でコンテンツビジネス本部デジタル戦略局長兼データマーケティング部長兼営業局専任局長の嶋裕司氏は話す。パーソナリティーは番組に集まるリスナーに話しかけるように番組を進行し、リスナーからのはがきやメールなどを読み上げたり、リクエストのあった音楽を流したりする。“はがき職人”という言葉があるように、一般には無名の個人が番組内ではパーソナリティーにもリスナーにもおなじみの有名人になることもある。ラジオはインターネットが登場するはるか前から、パーソナリティーや番組を中心としたコミュニティーを形成してきた。

 ただ、「それを目に見える形では実証できてこなかった」と嶋氏。「番組制作にリスナーのニーズを生かすためにも、TOKYO FMが持つファンコミュニティー、あるいはその声を可視化することは必要だと感じていた」と話す。

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