新型コロナウイルス禍による外出自粛などで減少した顧客との接点を生み出す方法として、ファン・コミュニティー・サイトが注目されている。SNS(交流サイト)時代に企業がファン・コミュニティー・サイトに取り組む理由として、「安心感」「本音」「共創」の3つのポイントが見えてきた。第1回は、2021年10月8日にサイトを開設したそごう・西武の取り組みと共に紹介する。

そごう・西武は21年10月から、ファン・コミュニティー・サイト「マニア区」を開設した
そごう・西武は21年10月から、ファン・コミュニティー・サイト「マニア区」を開設した

 人々が日々活発に交流している場として、今や真っ先に思い浮かぶのはSNSだろう。Twitter、Instagram、FacebookなどのSNSには、毎日膨大なコンテンツが投稿されている。コメント欄を通じてユーザー同士が交流したり、ハッシュタグ(#)を用いて同じ関心事を持つ人同士でつながったりするのは日常的になった。

 企業はSNS公式アカウントを通じて商品やキャンペーンの情報を発信するのはもちろん、ユーザーにシェアすることやUGC(ユーザー・ジェネレーテッド・コンテンツ=ユーザー生成コンテンツ)創出を呼びかけることや、いわゆる“企業の中の人”として、顧客と交流することさえもできる。

【特集】ファンコミュニティーサイトの理想型

 一方で、ここに来てにわかに注目されているのがファン・コミュニティー・サイトだ。エフエム東京は2021年7月、ラジオリスナー同士の交流の場として、「LisCom(リスコム)」を開設した。8月にはコーセーの通販事業子会社・コーセープロビジョン(東京・中央)が化粧品ブランド「米肌(まいはだ)」にて「“キレイ”を話そう いっしょに創ろう ファンコミュニティ」を、10月にそごう・西武が「マニア区」をスタート。顧客との新たな接点を模索する中で、ファン・コミュニティー・サイトに期待がかかっている。

 振り返ってみると13年から15年にかけても、ファン・コミュニティー・サイトには熱い視線が注がれていた。13年に「エンゼルPLUS」(森永製菓)、14年に「シューズLABO+」(丸井)、15年に「&KAGOME」(カゴメ)「Udon WAVE」(テーブルマーク)などがオープンしている。現在も運営を続けているサイトがある一方で、運営を終了して、より手軽に情報発信できるSNSにその役割を移行した事例もある。

 そうした現実からは、ファン・コミュニティー・サイトを続けていく難しさもうかがえる。サイト参加に登録が必要というハードルの高さ、SNSがある中でサイトに訪問してもらい会員同士交流する動機を提供し続ける難しさ、サイト運営のコストがかかることなどが、その理由といえる。

 そうした現実も踏まえて、このSNS全盛ともいえる時代に、企業はなぜファン・コミュニティー・サイトを運営するのか。本特集では、21年になってファン・コミュニティー・サイトを開設した3社に加えて、いわば “老舗”として運営を続けている森永製菓とカゴメの計5社に取材した。各社の取り組みを取材して見えてきたキーワードは3つある。

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