スターバックスの「挑戦」 第6回(写真)

歴史的建造物や公園など、地域の象徴となる場所へも積極的に出店するスターバックス。社内デザイナー主導でその土地に合ったオンリーワンの店づくりをすることで、地域住民が集う場、地域活性化の拠点にもなっている。だが、その陰で、全国にある一般的な店舗を進化させる動きも加速。アフターコロナを見据えた新・スタンダード店舗とは。

一見するとよくある“普通のスターバックス”の店内だが、アフターコロナを見据えた店舗開発のヒントがここにある
一見するとよくある“普通のスターバックス”の店内だが、アフターコロナを見据えた店舗開発のヒントがここにある

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 1996年、東京・銀座の1店舗から始まったスターバックスの日本での歴史。25年たった今では、全都道府県、1600店舗以上を展開するまでに広がっている。

 本特集の第3回で紹介している、各都道府県でオリジナル商品を展開した「47 JIMOTO フラペチーノ」が示すように、スターバックスは地域や地元に溶け込むことを重視している。それは、店舗出店や店舗デザインにおいても同様だ。

 その地域戦略のシンボルが、「リージョナル ランドマーク ストア」。各地域の象徴となる場所に立地する店舗で、その土地ならではの様々な要素を織り込んだ建築デザインを採用し、地域の文化を世界に発信する拠点としての役割を持つ。2005年の「鎌倉御成町店」(神奈川県鎌倉市)が1号店で、地域の中核を担う公園や世界遺産の神社の参道、歴史的な駅舎など多様な場所に設置され、その数は現在28店舗(21年10月15日時点)になる。

リージョナル ランドマーク ストアの1つ、「川越鐘つき通り店」(埼玉県川越市)。街並みへの敬意や調和を考えながら、店舗を設計、デザインをしていく
リージョナル ランドマーク ストアの1つ、「川越鐘つき通り店」(埼玉県川越市)。街並みへの敬意や調和を考えながら、店舗を設計、デザインをしていく

徹底した地域や土地へのパーソナライズ

 リージョナル ランドマーク ストアの各店から垣間見えるのは、徹底した店舗のカスタマイズ、土地へのパーソナライズだ。1店舗1店舗、綿密な調査を経て店舗設計、デザインが行われる。立地条件、既存施設の状況、周辺環境との調和など、制約が大きいケースが多いからだ。「自然が豊かな立地であれば、木々や植物をできるだけ生かし、保存しながら、風通りや太陽の動きなどまで勘案して設計をしていく。文化的建造物であれば、伝統を意識し、生かしながらスターバックスの世界観を融合させていく」(店舗設計部 リージョンデザイングループ 米山大樹マネジャー)。従来の画一的なチェーンにおける効率重視の観点で見れば、極めて非効率な出店戦略といえる。

地元住民の憩いの場である浜松城公園内にある「浜松城公園店」。既存の公園の木をできるだけ残し、そして生かしながら溶け込むデザインに
地元住民の憩いの場である浜松城公園内にある「浜松城公園店」。既存の公園の木をできるだけ残し、そして生かしながら溶け込むデザインに

 28店舗、どれも個性的で背景に多様なストーリーがある。その中でも象徴的なのが京都市東山区にある「京都二寧坂ヤサカ茶屋店」だ。

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