23年4月のランキングトップは、久しぶりにテレビ業界にフォーカスした特集「テレビが変わる。メディアが変わる」の初回記事でした。しかも、2月、3月に続き、またまた有料読者の方々の閲読数で過去最高記録を達成! 新年度に合わせて企画した「失敗から学ぶ!達人マーケターの逆転法」「マーケティング1年目の集中講座」の2大特集から多くの記事がランクインしました。

 23年4月は、おかげさまで大ヒット特集に恵まれた月でした。読者の皆さまとともに新年度のスタートダッシュを好調に切れたことをうれしく思っています!

 さて、4月公開特集の中でも特筆すべきは、日経クロストレンドにおいて久々に取り上げるテーマとなった、テレビ業界の広告事情を深くえぐった特集「テレビが変わる。メディアが変わる」です。

新時代のテレビ特集が大好評でした!(写真/Shutterstock)
新時代のテレビ特集が大好評でした!(写真/Shutterstock)

 1本目の記事「『若者のテレビ離れ』は本当か 広告主が大移動? TVerの衝撃」が、私たちが重視する有料読者の方々の閲読数において過去最高記録を達成したほか、4月の有料会員訪問者数に基づく月間ランキングでも、上位30位のうち実に5本が食い込んでいます。

テレビが変わる。メディアが変わる
【1位】「若者のテレビ離れ」は本当か 広告主が大移動? TVerの衝撃
【12位】テレビCMは「オワコン」か 運用型が普及、広告主動かす“脱視聴率”
【19位】テレビCMでもABテスト 認知度トップに躍り出たベンチャーの秘策
【22位】TVer広告収入200%成長の破壊力 広告主が殺到する「4つの強み」
【28位】「ビズリーチ!」、大ヒットCM誕生秘話 クリエーター北尾氏の法則

 本特集は、2022年春に民放各局のインターネット同時配信がスタートし、広告主から見ると従来のテレビ広告に加え、動画配信サービスを含めたテレビ広告という選択肢ができた中で、広告メディアとしてのテレビはどう変わるのかを深掘りしたものです。

 中でも衝撃的なのは、民放各局や広告会社が出資するTVer(東京・港)が運営する無料動画配信サービス「TVer(ティーバー)」の躍進。同社によると、「22年のTVer全体の広告収入は前年比で200%以上伸びた」と言います。

 その背景には4つの強みがあります。(1)TVerの広告視聴完了率が高いこと、(2)(ネットに比べ)ブランドセーフティーが比較的保たれていること、(3)TVerがターゲティング可能なリーチメディアとして地歩を固めたこと、(4)TVerをコネクテッドTV経由で視聴するユーザー割合の多さです。これらがあいまって、TVer躍進の原動力となっています。

2023年1月に2700万を突破したTVerの月間ユーザー数(MUB:Monthly Unique Browsers)の伸びを示すグラフ(出所/TVer)
2023年1月に2700万を突破したTVerの月間ユーザー数(MUB:Monthly Unique Browsers)の伸びを示すグラフ(出所/TVer)

 ネット広告の成長を見て、「テレビ広告はオワコン」などと結論付けるのはあまりに早計です。テレビ放送をテレビという受像機で見る機会は減ったのかもしれませんが、テレビ番組というコンテンツ自体の評価はネットに舞台を移しても揺るぎません。TVerが広告主からの評価を高めていることは、それを明確に表しているのではないでしょうか。

 また、そもそもテレビ広告自体、「運用型テレビCM」と呼ばれる新しい手法が誕生し、効果を見える化できるようになったことから、その価値が見直されています。特集では、運用型テレビCMを活用することで知名度を一気に高めたスタートアップの事例なども網羅していますので、まだ読んでいない方はぜひ参考にしていただければと思います。

マーケの基本に立ち返る2大特集も好評

 23年4月は新年度の始まりということもあり、マーケターが自らのマーケティング姿勢を見つめ直す、あるいは新人が先輩マーケターの知見を吸収するのに役立つ2大特集を展開しました。それが4月第1週に掲載した「失敗から学ぶ!達人マーケターの逆転法」と、第2週に掲載した「マーケティング1年目の集中講座」特集です。

失敗から学ぶ!達人マーケターの逆転法
【2位】I-neが陥った「感性ドリブンマーケ」の限界 経営危機からの突破口
【4位】P&Gで大失敗 「人生最大のトラウマ」を西口氏はどう乗り越えたか
【10位】ベビースターV字回復の舞台裏 ミツカン出身マーケター、失敗の教訓
【14位】ロート製薬で確立した西口流「N=1」マーケ 失敗糧にヒット連発
【17位】イノベーションの「壁」越える「NRPS法」とは? 元ネスレ高岡氏
【27位】ものづくり軽視のマーケターに未来なし 湖池屋・佐藤社長の流儀

マーケティング1年目の集中講座
【5位】新人マーケターは“まね”をせよ アサヒビール松山社長が独白
【6位】「マーケターは初めから軍師・李牧を目指すな」  元P&G西口氏
【11位】「視野の狭い」若手マーケターがはまる落とし穴 5つの誤解
【16位】“凡人”がビジネスセンスを磨く方法 さとなお氏直伝!
【25位】「欲望の胎動」は街中にある 生活者インサイト探るケトル嶋氏の習慣

 いずれの特集からも多くの記事がランクインしました。ボタニカルシャンプーの「BOTANIST(ボタニスト)」などを展開するヒット連発企業、I-neが明かした大失敗商品からの学び、Strategy Partners(東京・港)代表取締役社長の西口一希氏がP&G時代に経験し、「今でもトラウマ」という手痛い失敗など、衝撃的な記事が並びます。

2017年9月にI-neが発売したルビーマッシュルーム。たった一商品でボタニストの利益が消えるほどの損失を味わったという……
2017年9月にI-neが発売したルビーマッシュルーム。たった一商品でボタニストの利益が消えるほどの損失を味わったという……

 どれも読者の皆さまが同じ失敗を繰り返すことがないよう、真摯に包み隠さず話していただいた内容をまとめたものです。他にもアサヒビールの新社長、松山一雄氏や、博報堂ケトル(東京・港)取締役・編集者の嶋浩一郎氏による新人マーケターに向けたメッセージなど、盛りだくさんのコンテンツが人気を博しました。保存版として、折に触れて読み返してもらえるとうれしい限りです。

■23年4月人気記事ランキング
【1位】「若者のテレビ離れ」は本当か 広告主が大移動? TVerの衝撃
【2位】I-neが陥った「感性ドリブンマーケ」の限界 経営危機からの突破口
【3位】アパホテルが広告事業でプールを黒字化 大手広告主が殺到の裏側
【4位】P&Gで大失敗 「人生最大のトラウマ」を西口氏はどう乗り越えたか
【5位】新人マーケターは“まね”をせよ アサヒビール松山社長が独白
【6位】「マーケターは初めから軍師・李牧を目指すな」  元P&G西口氏
【7位】新消費者像「令和ママ」を徹底分析 「平成ママ」と何が違う?
【8位】マーケター必修! 値上げ時代の価格戦略フレームワークを大公開
【9位】「3本線」が示すブランドを汚すアディダス どこで間違えたのか
【10位】ベビースターV字回復の舞台裏 ミツカン出身マーケター、失敗の教訓
【11位】「視野の狭い」若手マーケターがはまる落とし穴 5つの誤解
【12位】テレビCMは「オワコン」か 運用型が普及、広告主動かす“脱視聴率”
【13位】味の素「マーケティングデザインセンター」の狙い キーマンに直撃
【14位】ロート製薬で確立した西口流「N=1」マーケ 失敗糧にヒット連発
【15位】SNSで広がる「ウエーブ消費」とは 少年ジャンプ+が拡大した心理
【16位】“凡人”がビジネスセンスを磨く方法 さとなお氏直伝!
【17位】イノベーションの「壁」越える「NRPS法」とは? 元ネスレ高岡氏
【18位】「Z世代っぽい」は響かない サントリーの「ゆるい酒」開発秘話
【19位】テレビCMでもABテスト 認知度トップに躍り出たベンチャーの秘策
【20位】「令和パパ」は7タイプ 家事・育児ストレスと承認欲求に相関性
注)23年4月1日~30日公開の記事のうち、有料会員の訪問者数(ユニークユーザー、UU)が多かった上位20本。この期間の全体の本数は222本

 最後に、特集以外で非常に多く読まれた1本をご紹介します。

【3位】アパホテルが広告事業でプールを黒字化 大手広告主が殺到の裏側

アパグループと大塚製薬がコラボレーションした「ポカリスエットプール」。現在も「アパホテル&リゾート〈東京ベイ幕張〉」にある(画像提供/アパグループ)
アパグループと大塚製薬がコラボレーションした「ポカリスエットプール」。現在も「アパホテル&リゾート〈東京ベイ幕張〉」にある(画像提供/アパグループ)

 「ポカリスエットプール」「ネスカフェプール」「味ぽんプール」「ビックリマンプール」……。誰もが知るブランド名を冠した屋外プールが日本各地に、しかもホテルチェーン「アパホテル」に設置されているのはご存じですか。アパグループ(東京・港)は、赤字で苦戦してきた屋外プールをネーミングライツ(命名権)事業として広告化することで黒字化に成功しています。この記事では、アパグループがコラボするブランドをどう選んでいるのか、何が成功の分かれ道なのか、詳しく紹介しています。

 お伝えしたいことが、もう一つ。この記事は、入社半年ほどの新人記者、砂村風香さんの担当です。実は、砂村さんは4月ランキング2位の「I-neが陥った『感性ドリブンマーケ』の限界 経営危機からの突破口」、8位の「マーケター必修! 値上げ時代の価格戦略フレームワークを大公開」、10位の「ベビースターV字回復の舞台裏 ミツカン出身マーケター、失敗の教訓」なども担当、大車輪の活躍でした。

 日経クロストレンドの若手メンバーもめきめき力を付けて、読者の皆さまに価値ある情報を届けていますので、ぜひ記者個人をフォローしてチェックしていただければと思います。

 23年5月も生成AI「ChatGPT」を活用した“ずるい仕事術”や、隠れたマーケ巧者・丸亀製麺の戦略を丸裸にする特集をお届けしていきますので、引き続きお楽しみください!

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