2021年9月3日発売の「日経トレンディ2021年10月号」では、新興小売りチェーンを特集している。ここ数年で、カジュアル向けのシューズを増やしているワークマン。今一番伸びているのが、厚底が特徴のアスレシューズシリーズだ。消費者の不満の声を受けて改善し、ランニング専用モデルとして発売したところ年間25万足ペースで売れる大ヒット商品となった。

※日経トレンディ2021年10月号の記事を再構成

ワークマンで人気の「アスレシューズ ハイバウンス ドリブンソール」。厚底が特徴
ワークマンで人気の「アスレシューズ ハイバウンス ドリブンソール」。厚底が特徴

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 作業向けの安全靴を主力としていたワークマンだが、ここ数年でカジュアル向けのシューズが増えている。火付け役は、2018年4月に発売された「ファイングリップシューズ」。もともとは油で汚れた床でも滑りにくいようにつくられた厨房用の靴が原型だが、デザインをカジュアルに履けるスリッポン型にリニューアル。さらに、縦横どちらの方向にも滑りにくいように靴底を設計し直したことで、「雨の日でも転ばない」と妊婦を中心にママの心をつかんだ。60万足以上を売り上げ大ヒットし、様々な派生シューズを生んだ。

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 そして、シューズ担当の製品開発部・フットギア・マーチャンダイザー青木正志氏が「今一番伸びている」と語るのが、高反発ソール素材「バウンステック」を搭載した 厚底が特徴のアスレシューズシリーズだ。元祖は、20年4月に発売された「アスレシューズ ハイバウンス」で、「スポーツブランドのような速く走るための靴ではなく、歩いても疲れにくいがコンセプト」(青木氏)。これが消費者に受けて、累計で40万足を超える勢いで売れた。

■アスレシューズ ハイバウンス
■アスレシューズ ハイバウンス
20年発売。海外の工場に高反発素材をオーダーして開発した。実勢価格1900円(税込み、以下同)

 人気の厚底シューズということでランニング用に買い求める人もいたが、足の甲を覆う素材をニットで作っているため「ホールド感が弱い」「ソールが軟らかすぎる」といった不満の声が届いていた。そこで、ランニング専用モデルとして21年2月に発売されたのが「アスレシューズ ハイバウンス ドリブンソール」(実勢価格1900円、税込み、以下同)だ。本格的なランニングシューズが低価格で手に入ると口コミで人気がじわじわと広がり、年間25万足ペースで売れている。

ヒット商品 シューズ

1900円ランシューが進化 同じ値段で前モデルの不満解消
アスレシューズ ハイバウンス ドリブンソール

ランニング用に履きたいユーザーが前作に寄せた声を基に改良を重ねた新モデル
ランニング用に履きたいユーザーが前作に寄せた声を基に改良を重ねた新モデル
「実はシューズの場合、同じアイテムでも細かい改良を重ねている」(製品開発部・フットギア・マーチャンダイザー青木正志氏)
「実はシューズの場合、同じアイテムでも細かい改良を重ねている」(製品開発部・フットギア・マーチャンダイザー青木正志氏)

前モデルの不満解消して進化

 前モデルとの違いとして、足の甲上部を覆うベロを作り、ホールド感を増した。走行時の安定性強化のため少し硬めのソールに変更し、つま先を反り返らせることで体重を前にかけるだけで推進力が得られる設計にもした。

 価格は前モデルと同じ。新モデルのほうが高機能に思えるが、実はコストカットするために削っている部分もある。前作は滑りにくくグリップ力の高い全面ラバーソールだったが、ドリブンソールは地面と接するポイントに絞ってラバーを使う。ただ、ランニングシューズの場合、グリップ力がそこまで必要ない。むしろゴムに切り替えたことで軽量化され走りやすいというメリットも生まれた。

ホールド感アップ
ホールド感アップ
足の甲をしっかりとホールドするためにベロを追加した。前モデルでは、コストカットのため削られていた
反り返るつま先
反り返るつま先
体重をつま先にかけるだけで、スムーズに走れる。スポーツメーカーなども採り入れている構造だ
靴底はEVA素材とラバーの組み合わせ
靴底はEVA素材とラバーの組み合わせ
ソールに採用されたEVA素材(白、赤部分)は、弾力性のある合成樹脂

小売店発の厚底シューズがヒット

■ファールラン(ドン・キホーテ)
■ファールラン(ドン・キホーテ)
ドン・キホーテは、競技会で制限されているソール40ミリメートル以内という規定外のものを発売。実はワークマンも同程度の厚さ。実勢価格8789円

派生商品も続々登場

走れるJOGサンダル

夏用の派生商品として、高反発ソールを使ったサンダルも発売した。通気性が高く気軽に履けるうえ、動きやすいのでアウトドアにも向く。実勢価格1900円。21年モデルは生産が終了し店頭在庫のみ
夏用の派生商品として、高反発ソールを使ったサンダルも発売した。通気性が高く気軽に履けるうえ、動きやすいのでアウトドアにも向く。実勢価格1900円。21年モデルは生産が終了し店頭在庫のみ

(写真/文田 信基=fort)

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