2021年9月3日発売の「日経トレンディ2021年10月号」では、「新興小売りチェーン」を特集。「ポストユニクロ」とも呼ばれるアパレル企業になりつつあるワークマン。価格ファーストを貫いた戦略で、激安&高機能という独自のポジションを築き上げた。躍進の秘密を、年表とともに振り返る。

※日経トレンディ2021年10月号の記事を再構成

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 作業服の専門店から、国内有数のアパレル企業へ。2018年に、一般向け業態の「ワークマンプラス」でブレイクして以来、右肩上がりの成長を続けるのが、ワークマンだ。21年3月期の決算では売り上げに当たる営業総収入が1000億円を突破。店舗数は919店(うちワークマンプラスは321店)を構え、すでにカジュアルウエア最大手のユニクロを超えている。「ポストユニクロ」とも呼ばれる国内有数のアパレル企業になりつつあるのだ。

■売り上げは右肩上がりで、4年で倍増
■売り上げは右肩上がりで、4年で倍増
■ワークマンプラス
■ワークマンプラス
18年に誕生しカジュアル路線を開拓した
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 なぜここまで人気なのか。最大の特徴は、「価格ファースト」を貫いたブルー・オーシャン戦略だ。従来のアパレル業界とは一線を画す「原価率65%を目指す」(土屋哲雄専務)という方針を出し、激安&高機能という独自のポジションを築き上げた。例えば、触るとひんやりする「冷感リフレクティブ半袖Tシャツ」は何と580円(税込み、以下同)で、50万着を超える大ヒットに。「ファイングリップシューズ」(1900円)は、「滑らない靴」として妊婦や子育て中の女性の間で広まり、あっという間に販売数が30万足を超えた。「イージスのマウンテンパーカーなど、デザインも徐々に洗練されてきて、街着としても“市民権”を得た。ワークウエアのカジュアル進出を成し遂げた」と、繊維ジャーナリストの南充浩氏は躍進を語る。

 現在、売り上げに対するPB商品の比率は、約6割にもなる。「商品開発は売価設定から始まる。途中で価格を上げたりといった調整はしない。必要な機能性を持たせたうえで、様々な工夫でコストカットを行っていく」(製品開発部・フットギアマーチャンダイザーの青木正志氏)。

 20年からも、ヒットの源泉となりうる新業態を次々と仕掛けている。同年10月に横浜・桜木町駅前の商業施設「コレットマーレ」に出店した「#ワークマン女子」は、入店3時間待ちとなり、初日の売上高は目標の2.7倍を記録するロケットスタートを切った。

■ワークマン女子
■ワークマン女子
女性ファンを取り込む新戦略

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