2021年9月3日発売の「日経トレンディ2021年10月号」では、「新興小売りチェーン」を特集。掃除用品は年々細分化が進み、カインズではオリジナルの特殊なプロ仕様洗剤がヒットしている。「楽に汚れを落とす」とうたう商品名は本当か。ほうきやクリーナーなど、見映えのいいアイテムの機能性はどうか。掃除用品に詳しい住生活ジャーナリストの藤原千秋氏と人気商品をチェックした。

※日経トレンディ2021年10月号の記事を再構成

前回(第8回)はこちら

 カインズのPB商品の特徴の一つとして、良い意味で身も蓋もないネーミングが挙げられる。掃除用品は特に顕著で、中でも売り場で目立つのが、「キッチンのコゲおとし」「鏡のウロコ取り」といった、用途が細かく分かれた白い洗剤ボトルが並ぶコーナー。プロの清掃業者向け洗剤を、家庭用に使いやすくアレンジした、人気の「プロ仕様洗剤」シリーズだ。「落ちる」「取れる」は本当か、売れ筋品を検証してみた。

■プロ仕様洗剤シリーズが並ぶ売り場
■プロ仕様洗剤シリーズが並ぶ売り場
何の汚れに有効か、ひと目で分かるパッケージ

「プロ仕様洗剤」シリーズの実力検証

 まずはスティックタイプの「キッチンのコゲおとし」。先端に水をつけ、コンロの上を往復させるとクリーム状に溶け出し、クエン酸で軟らかくなった焦げが研磨剤で容易に落ちる。掃除用品に詳しい住生活ジャーナリストの藤原千秋氏は、「研磨剤とクエン酸を合わせた商品は実は珍しい」と言う。ただし、焦げのひどい五徳などを磨くときに、難点もある。「水加減が難しく、割とすぐにスティックがねっとりと緩くなってしまう。スポンジやタワシを併用するなど工夫が必要」(藤原氏)

キッチンのコゲおとし

 素材を傷付けにくいソフトタイプの研磨剤とクエン酸でできた、固形のコゲ落とし洗剤。先端に水をつけて焦げ汚れをこすり落とす。「水加減を誤ると先端がふやけやすく、長時間の使用には向かない」(藤原氏)。実勢価格498円(税込み)。

先端から研磨剤がクリーム状に溶け出し、少ない力で汚れを落とせる。ある程度まで洗剤が付着した後は、掃除用スポンジなどを併用した方が効率的だった
先端から研磨剤がクリーム状に溶け出し、少ない力で汚れを落とせる。ある程度まで洗剤が付着した後は、掃除用スポンジなどを併用した方が効率的だった
■使用前と使用後の比較
■使用前と使用後の比較

鏡のウロコ取り

 研磨剤とクエン酸を配合した液状タイプのウロコ取り洗剤。付属のスポンジに適量を出し、全体を3〜4分ほどこすってすぐに水で流す。ウロコが一部残ったが、追加で軽くこするとすぐに落ちた。実勢価格698円(税込み)。

ウロコ取り専用スポンジなどに比べ、少ない力でより短時間で落とせる
ウロコ取り専用スポンジなどに比べ、少ない力でより短時間で落とせる
■使用前と使用後の比較
■使用前と使用後の比較
チェックした人
住生活ジャーナリスト 藤原千秋氏

住まい・生活が主な取材テーマ。監修書に『この一冊ですべてがわかる!家事きほん新事典』(朝日新聞出版)など

 水筒やタンブラーの中に付いた茶渋を落とす「ふるだけボトルクリーナー」も、使い方はシンプルで洗浄力も申し分ないが、「研磨剤タイプのためアルミ製には使用不可など、どんなボトルにも使える訳ではない」(藤原氏)。いずれも、ピンポイントで掃除したいものがある人に向くシリーズだ。用途が狭くとも売れるのは、他社の類似品と比べても価格が割安で、きれいに落ちればリピートしたくなるからだろう。

ふるだけボトルクリーナー

 ボトルの茶渋などを、セラミック粒子で落とす研磨剤タイプの粉末クリーナー。紅茶を入れて5日間放置した500ミリリットルの水筒で試した。小さじ1杯分と少量の水を加え、しばらく振るときれいに落ちた。実勢価格498円(税込み)。

水道水をボトル容量の10分の1ほど加える
水道水をボトル容量の10分の1ほど加える
■使用前と使用後の比較
■使用前と使用後の比較

この記事は会員限定(無料)です。

有料会員になると全記事をお読みいただけるのはもちろん
  • ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
  • ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
  • ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
  • ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー
ほか、使えるサービスが盛りだくさんです。<有料会員の詳細はこちら>
7
この記事をいいね!する