2021年9月3日発売の「日経トレンディ2021年10月号」では、新興小売りチェーンを特集している。今回の注目はカインズのキッチン用品だ。同社はホームセンターでありながら、家事が楽になる雑貨系のPB(プライベートブランド)商品を数多くそろえる。買うべき商品はどれか、売れ筋商品を検証した。

※日経トレンディ2021年10月号の記事を再構成

カインズには、機能性だけでなく見栄えの良いオリジナルのキッチン用品も多数ある
カインズには、機能性だけでなく見栄えの良いオリジナルのキッチン用品も多数ある

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 2019年度(19年3月〜20年2月)に4410億円を売り上げ、DCMホールディングスを抜いて国内トップのホームセンターになったカインズ。20年度も勢いは止まらず、4854億円まで伸ばしている。しかも、店舗数はDCMホールディングス(20年度の売り上げは4642億円)が663店舗なのに対し、カインズは225店舗。1店舗当たりの売り上げはカインズが圧倒的に多い。

 カインズの本拠は北関東(現在の本社は埼玉県本庄市)だが、今では中部や近畿地方の店舗も多く、28都道府県に展開している。またオンラインショップでの販売にも力を入れている。

 最大の特徴は、豊富なオリジナル商品(PB商品)だ。ホームセンターの主戦場であるDIYや園芸だけでなく、日用品、雑貨、ペット用品、調理家電、アウトドア用品、寝具など、あらゆる分野でPB商品を開発。現在、PB商品は約1万3000点あり、売り上げの約4割を占めるという。この他に大手メーカーとのコラボ商品も多い。

 同社は国内外のデザイン賞に積極的に応募しており、受賞した商品は店頭でアピールする。近年のカインズPBはモノトーンなど落ち着いた色調の商品が多く、インテリアにもなじみやすいという評価が定着しつつある。

 17年からは、日用雑貨のPBを中心とした都市型店舗「Style Factory(スタイルファクトリー)」も出店。21年8月時点で4店舗あり、こちらはさらにPB商品の比率が高い。

 圧倒的な商品開発力を支える仕組みの一つが、正社員・パートを問わず、約1万3000人の従業員が店舗や商品の改善策を提案できる「MIERU(ミエル)」というシステムだ。来店客と接する社員の声を即座に反映させることで、大手メーカーには無いユニークな商品の開発を目指す。

他のホームセンターとはここが違う

■圧倒的な商品開発力
■圧倒的な商品開発力
カインズは、一般的なホームセンターよりもオリジナル商品(PB商品)が多く、売り上げの約4割をPBで上げる。写真はカインズ朝霞店。ハンガーだけで約30種類(左)。PB商品は約1万3000点(右)
■ネット予約が充実
■ネット予約が充実
ITを活用したサービスに力を入れており、店舗のサービスは、ほとんどが専用アプリやウェブサイト(CAINZ Reserve)で予約できる

 とはいえ、カインズのすべてのPB商品が優れているとは限らない。まずはキッチン用品について、性能や実力が価格に見合っているかを検証した。

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