2021年9月3日発売の「日経トレンディ2021年10月号」では、「新興小売りチェーン」を特集。食品スーパーの「業務スーパー」は、安さと独自性の高い品ぞろえが広く知れわたり、運営する神戸物産の直近の売上高は過去最高を記録した。さらに経営の効率化を図ろうと、ソフトバンクと手を組んで次世代型スーパーの実証実験を進める。来店者の利便性も上がり、当面、死角は見当たらない。

※日経トレンディ2021年10月号の記事を再構成

前回(第1回)はこちら

 業務スーパーの勢いが止まらない。安さと独自性の高い品ぞろえが広く知られるようになり、同店を運営する神戸物産は直近の売上高を3400億円へと押し上げて過去最高を記録した。総じて割安感があり価格も安いのは、自社グループで製造するなどして各種コストをカットしているためだ。そして店には、輸入品や国内自社グループ製造品が並ぶ。輸入品の8〜9割程度は中国産だったが、近年は約半分に。国内製造品は、パッケージや値札にそれと分かる記載があり、「確認して買う人が増えている」(神戸物産)という。

業務スーパー、カインズ、ワークマン大研究
【第1回】業スー、カインズ、ワークマンはなぜ人気? 見えた3つの共通点
【第2回】安さと品ぞろえで業務スーパーが一般に浸透 DX戦略に死角なし←今回はココ
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 2つの特徴を持つ業務スーパーは中型規模の食品スーパーで、コンビニエンスストアより大きく、ドラッグストアとほぼ同じか、少し小さいレベルだ。一般的な食品スーパーが商品を1万点程度はそろえるのに対して、2000〜2500点に絞り込んでいるのも特徴。豊富な品ぞろえから選ぶことはできず、ナショナルブランド(NB)商品も少ないが、「割り切ったビジネスモデルのおかげもあって、ここまで成長できたと見ている」(加盟店として東日本を中心に110店以上を運営するオーシャンシステム常務の小野純平氏)。

■右肩上がりの成長が止まらない
■右肩上がりの成長が止まらない
注)神戸物産の有価証券報告書などを基に作成。前年比は編集部で計算
■来店者の多くは一般消費者
■来店者の多くは一般消費者
注)客数ベース、コロナ禍前

 今でこそ消費者が押し寄せる人気店となった業務スーパーだが、かつては違った。「約20年前、看板には今と変わらず『一般のお客様大歓迎』と書かれていた。にもかかわらず、本当に入っていいのか、何を売っているのかが分からないなどと敬遠されていた」(小野氏)

■約20年で全国にチェーン展開を達成
1981年 創業者の沼田昭二氏(現社長・沼田博和氏の父)が食品スーパー「フレッシュ石守」を兵庫県加古川市に開業
2000年 業務スーパー本部としてフランチャイズチェーン(FC)体制をスタートし、FC契約の1号店を兵庫県三木市にオープン
2002年 関東におけるFC契約1号店を神奈川県海老名市にオープン
2006年 大阪証券取引所(第二部)に株式を上場
2013年 大証と東京証券取引所の現物市場統合に伴い、東証に上場(第一部)
2021年1月 全国900店舗を達成
2021年2月 47都道府県への出店を達成
注)神戸物産の有価証券報告書などを基に作成

 2000年にフランチャイズチェーン(FC)展開をスタートさせた業務スーパーは、21年1月に900店を達成。小野氏が強みとして挙げる「ローコストオペレーションによって安く抑えられる価格設定と、独自性のあるオリジナル商品」が、消費者に少しずつ受け入れられていったことになる。SNSを含む、近年のメディアが果たしている効果も大きく、宣伝広告をしない戦略を取る神戸物産に代わって、業務スーパーの商品力を消費者に伝えている格好だ。

 とりわけ、国内でオリジナル商品を製造するグループ工場を取り上げた、19年放映のあるテレビ番組のインパクトは大きかった。安さの理由を製造工程の工夫という視点から説明し、「素材や産地について消費者に持たれていた誤解が払拭され、人気や知名度を一気に上げる起爆剤になった」(神戸物産)。その後の好調ぶりについては、消費者の多くが知るところだ。

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