
コロナ禍で顧客の97%に当たる卸先を失ってしまった、クラフトビールに特化した醸造所の京都醸造(京都市)。そこで、自社ECサイトを開設してBtoBからBtoCに転換。SNSやブログを通じてコミュニケーションした結果、2020年12月には前年同月比で売り上げ1.5倍を記録し、見事なV字回復を果たした。
京都醸造は、「ベルギー&アメリカ」スタイルのビールに特化したクラフトビールの醸造所だ。2015年に設立して以降、顧客の約97%が飲食店や百貨店などで、BtoBをメインとしていた。そんな中、コロナ禍に見舞われて飲食店の休業が相次ぎ、卸先を失ってしまう。「もともと一般消費者向けにも販売したいという構想はあった。コロナ禍でBtoCビジネスへのシフトを決意した」と京都醸造共同設立者兼代表のスピード・ポール・アンソニー氏は話す。
一般消費者向けに販売したいと考えるようになったのは、19年10月のこと。(会社)設立時は国内に100カ所ほどだったクラフトビールの醸造所が、19年には約380カ所と短期間で急増。クラフトビールメーカー間の競争が激しくなり、飲食店の開拓ペースが鈍化。樽生クラフトビールの売り上げの伸び率が小さくなっていた。「販路を広げることで、事業をもっと拡大したいと考えた」(ポール氏)。醸造所併設のタップルーム(バー)でビールを飲んだり買ったりすることはできたが、それ以外に販路はなかった。
準備が整い、かつコロナ禍でタップルームの営業も難しくなった20年4月、ECプラットフォーム「Shopify」を活用して自社ECサイトをスタート。BtoCビジネスへと大きく舵(かじ)を切った結果、20年の売上高比率の約17%を占めるまでに急成長を遂げた。
ストーリー重視なBtoC
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