マーケター・オブ・ザ・イヤー2021 第6回(写真)

「マーケター・オブ・ザ・イヤー2021」の5人目はゼスプリ インターナショナル ジャパンのAPACマーケティング本部長、猪股可奈子氏。CMの「健康は好きなことを楽しみながら」というメッセージはコロナ禍の多くの消費者が共感した。成果の原点には同氏が社内に広げた「消費者目線の文化」がある。

ゼスプリ インターナショナル ジャパンのAPACマーケティング本部長、猪股可奈子氏。1981年福島県生まれ。2004年一橋大学商学部卒。04年日本リーバ(現ユニリーバ・ジャパン)に入社。08年の南アフリカ赴任を経てブランドマネージャーに昇格。ダヴ、ラックスなどのブランディングを担当。15年にゼスプリ インターナショナル ジャパン入社、20年4月より現職
ゼスプリ インターナショナル ジャパンのAPACマーケティング本部長、猪股可奈子氏。1981年福島県生まれ。2004年一橋大学商学部卒。04年日本リーバ(現ユニリーバ・ジャパン)に入社。08年の南アフリカ赴任を経てブランドマネージャーに昇格。ダヴ、ラックスなどのブランディングを担当。15年にゼスプリ インターナショナル ジャパン入社、20年4月より現職

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 ニュージーランドのゼスプリ インターナショナルは、キウイフルーツの生産者(過去の生産者も含む)が株主である輸出販売会社。日本では共働き世帯の増加などが影響し、果物の消費が下落傾向にある。その中でも近年キウイフルーツは販売を伸ばしている。2010年は2000万トレー(1トレーは約3.5キログラム)に届かなかった国内の販売数は、20年に約3000万トレーへと増やした。成長の立役者が、15年に入社した猪股氏だ。


 「消費者目線で話す人がいない」。ゼスプリに入社したばかりの頃、猪股氏はすっきりとしない感覚があった。ゼスプリの株主はすなわちキウイの生産者。いかに出荷先を広く確保し、安定した利益を本国に戻すかという社内の議論が中心となる。小売店や卸売業者の話から、季節による客足などの大まかな感覚はつかめていたが「どのくらいの頻度で、果物全体の中でどのくらい食べられているのか」という消費者に向けるべき視点が欠けていた。

ゼスプリのキウイフルーツ国内販売推移。1トレーは約3.5キログラム(資料提供/ゼスプリ インターナショナル ジャパン)
ゼスプリのキウイフルーツ国内販売推移。1トレーは約3.5キログラム(資料提供/ゼスプリ インターナショナル ジャパン)

 どんな消費行動をしてもらうかと戦略を立てることがマーケターの仕事であれば、まず消費者の状況を知ることが不可欠。猪股氏が、独自調査の結果など各種の情報を分析すると興味深いデータが浮かび上がってきた。「消費者の半分はキウイを1カ月に1回も食べていない」という事実だ。食べ物であれば、もっと多い頻度で消費者が触れていてもおかしくない。納豆や卵を毎日食べる人だっている。「1カ月に2~3回食べる、週1回食べる、という形に増やせるはず。伸びしろがあるのは間違いない」と猪股氏は確信した。

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