
「地域密着」や「土着化」「社会課題の解決」などを掲げる、良品計画の“第二創業”。地域事業の核となるのが、“暮らしの全部がそろう店”である「くらしの全部店」だ。2020年12月にオープンした旗艦店「無印良品 東京有明」はくらしの全部店の“第1号店”。地域に寄り添ったサービスや課題解決、素材リサイクルなど、物販だけに留まらない無印良品が目指す未来が見えてくる。
広大な売り場面積を持ち、無印良品が持つすべての商品・サービスを提供する巨大店舗――。良品計画が中期経営計画で掲げた「くらしの全部店」は、人口60万人規模の商圏ごとに配置される、エリアの核となる店舗。食品スーパーの横といった生活圏に出店する標準店や駅前店、コンビニ販売などと組み合わせ、人々の日常生活をサポートすることを目指す。
くらしの全部店の“第1号店”とされるのが、20年12月3日に開業した旗艦店「無印良品 東京有明」(以下、東京有明)だ。「地域密着」や「土着化」、「社会課題の解決」などをキーワードとした“無印史上初”となるサービスや取り組みが目白押しで、第二創業を掲げる良品計画の未来の姿が垣間見える店舗ともいえる。
東京有明がオープンしたのは、江東区にある「有明ガーデン」。東京国際展示場「東京ビッグサイト」にほど近い場所にあり、200以上のテナントや8000人を収容できる劇場の他、温浴施設やホテル、タワーマンションなどを擁する巨大複合施設だ。そのモール&スパの1階から3階のフロアに東京有明が出店した。
1階にあるエントランスから店内に入るとまず視界に飛び込んでくるのが、千葉県や茨城県、北海道など各地の生産者から直接取り寄せた野菜が並んだ青果売り場だ。併設したキッチンカウンターでは、週末ライブキッチン(調理実演)を実施してレシピを提案するほか、採れたばかりの旬の野菜を販売する「旬採市場」も不定期で開催している。
青果売り場の奥にはレトルトカレーを一同にそろえた売り場や、無印良品が力を入れる冷凍食品を陳列した大型冷凍庫が並ぶ。その他にも、ベーカリー「MUJI Bakery」やカフェ「Cafe & Meal MUJI」などを併設。東京有明の店長である松橋衆氏が「市場のにぎわいを目指した」と言うように、1階はカラフルな野菜や料理の匂いなど五感を刺激される構成が印象的だ。
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