脱クッキー時代に向けた代替技術について、本連載の第1回と第2回で取り上げた。だが、それ以外にもさまざまなソリューションが登場している。マーケターとしては今から知っておいても損はないだろう。ターゲティングと効果計測の2つの観点から、脱クッキー時代に押さえておくべき4つのソリューションを紹介していく。
1つ目に紹介するのは「(1)コンテクスチュアルターゲティング」だ。コンテクスト(文脈)に沿ったターゲティング手法で、設定したキーワードやカテゴリーに沿った広告枠のあるコンテンツに広告配信することができる。例えば旅行に関する記事にクルマの広告を掲載して、密を避けたクルマ旅を提案するといった具合だ。クッキーによるターゲティングが主流になる以前から存在する手法だが、脱クッキー時代に向けて再び脚光を浴び始めている。
「Google広告」や「Yahoo!広告」でもターゲティングオプションの1つとして用意されている。その他、コンテクスチュアルターゲティングに特化した老舗事業者も存在し、また計測ツール事業者が参入するなど市場が活性化し始めているのが現状だ。
オラクルの「Oracle Contextual Intelligence」を例に、コンテクスチュアルターゲティングの具体的な仕組みを説明しよう。マーケターは事前に用意されたカテゴリー、あるいは意図したコンテクストに関連する複数のキーワードを選択する。Oracle Contextual Intelligenceは日本語で媒体社の記事の中身をクローリングし、関連性のスコアなども加味したうえでターゲティング対象となるページをカテゴライズする。より正確にマーケターが意図したコンテクストに沿ったコンテンツに対して、広告を配信できるわけだ。
例えば、「パウダー」というキーワード1つとってもさまざまな意図で文章に使われる。広告主が化粧品会社であれば、当然化粧品のパウダーを指すはずだ。だが、単純に「パウダー」が含まれるコンテンツを対象にしてしまうと、「パウダースノー」に言及しているコンテンツも配信対象として含まれてしまう。そこで、重要になるのがコンテクストである。キーワードと併せて対象とするトピックも指定することで、化粧品のパウダーに関連性の高いコンテンツにしっかりと広告配信できる。
コンテクスチュアルターゲティングも最新の技術を駆使することで進化を遂げている。ただし、これまでのクッキーベースのオーディエンスターゲティングと比較すると、獲得効率が落ちる可能性がある。早い段階でテスト利用して、知見をためるのが賢明だと言えるだろう。
クッキー不要のターゲティング広告が続々
2つ目に紹介する広告手法は「(2)脱クッキー型オーディエンスターゲティング」だ。広告主がユーザーから使用許諾を得て、広告に活用できるファースト・パーティー・データを保有している場合、GoogleやFacebookを筆頭とする大手広告プラットフォームにおいて、クッキー不要のオーディエンスターゲティングに活用できる。
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