2020年1月、米グーグルは2年以内にWebブラウザー「Chrome」においてサード・パーティー・クッキーのサポートを終了する計画を発表した。世界的に大きなシェアを持つグーグルの発表は、脱クッキー時代幕開けの最後の引き金となった。同社は21年6月に業界からの反発などを理由に当初の計画から1年延期することを明らかにしたが、プライバシー強化の潮流は変わらない。本連載では脱クッキー時代に向けた、広告主の対策を解説する。

(写真:Shutterstock)
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 そもそも、サード・パーティー・クッキーがデジタル広告の世界で果たしてきた役割は何だろうか。これを理解するために、今一度「クッキー」の概要を整理しよう。クッキーは、ユーザーがWebサイトにアクセスした際に発行される小さなテキストファイルで、Webブラウザーに保存される。このクッキーの情報を参照することで、Webブラウザー単位でユーザーを識別し、ログイン状態の維持やサイトの設定を保存できる。一言で言えば、Webサイト側がユーザーを識別するための匿名IDといったところだろう。

 このクッキーには、大きく「ファースト・パーティー・クッキー」と「サード・パーティー・クッキー」と呼ばれる2種類が存在する。ファースト・パーティー・クッキーは、ユーザーがアクセスしたドメイン(接続先)から発行されるクッキーを指す。いま本記事を閲覧している読者に対して、日経BPが発行するクッキーはファースト・パーティー・クッキーとなる。

クッキーはWebサイトにアクセスした際に、同一ブラウザーの識別に活用されている
クッキーはWebサイトにアクセスした際に、同一ブラウザーの識別に活用されている

 一方、サード・パーティー・クッキーは、ユーザーがアクセスしたWebサイトとは別の第三者サーバーから発行されるクッキーを指す。例えば、特定の商品の閲覧後に、別のWebサイトに移動した際、閲覧した商品に関する広告が表示されたとする。これは、商品閲覧中に広告事業者のサーバーから発行されたクッキーを参照することで、特定のユーザーを識別することで実現している。「リターゲティング」と呼ばれる、デジタル広告の一種だ。

 リターゲティングだけではなく、サード・パーティー・クッキーはWebブラウザーの閲覧履歴からユーザーの興味・関心を推測して、特性の層に広告を配信できる「行動ターゲティング」にも広く活用されてきた。例えば、サード・パーティー・クッキーを軸に複数のメディアサイトのアクセスデータを横断的に集めることで、行動に基づくデータを蓄積し、広告配信への活用を可能にするDMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)がある。ポータルサイトや生活情報サイトなどに、DMP事業者のクッキー付与のタグが設置してある場合、これらのWebサイトにアクセスしたユーザーのクッキー情報はメディアオーナーだけでなくDMP事業者にも収集される。

 DMP事業者は収集したデータを加工し、「自動車関心層」「旅行関心層」といったセグメントに分類。DSP(デマンド・サイド・プラットフォーム)と呼ばれる広告配信システムを通じて、特定のセグメントに対して広告を配信する仕組みを実現している。

DMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)事業者はサード・パーティー・クッキーで収集したデータをセグメントに分類し、DSP(デマンド・サイド・プラットフォーム)を通じて広告を配信してきた
DMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)事業者はサード・パーティー・クッキーで収集したデータをセグメントに分類し、DSP(デマンド・サイド・プラットフォーム)を通じて広告を配信してきた

クッキーは広告効果測定にも活用されてきた

 ここまではデジタル広告のターゲティング配信に、サード・パーティー・クッキーがどのように活用されてきたかを説明した。配信だけでなく、広告効果測定の裏側でもサード・パーティー・クッキーが使われることは多い。

 広告を閲覧、クリックしたユーザーが実際に商品を購入したり、資料請求したりしたかどうかを検証するコンバージョン計測や、複数の広告の貢献度をそれぞれ数値化するアトリビューション分析といった効果計測にもサード・パーティー・クッキーが使われている。サード・パーティー・クッキーは、異なる事業者のWebサイトをまたいだターゲティングや効果計測のために当たり前のように使われてきた技術なのだ。

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