ポストコロナを迎える今、各業界をリードするイノベーターたちはDX(デジタルトランスフォーメーション)をどう考えているのか。人工知能(AI)開発と実装を現場で見ているAIビジネスデザイナーの石角友愛氏が、トップ経営者や専門家と具体的かつグローバルな議論を展開する。今回は冷凍パンのサブスクリプション(定期課金)サービス「パンスク」を展開するパンフォーユー(群馬県桐生市)代表取締役の矢野健太氏と対談の後編。独自開発のシステムを活用したパン業界のDXについて議論した。(対談は2022年10月5日)

サブスクサービス「パンスク」では群馬県の地元のパン屋がつくるパンを届けている。パンフォーユーは、職人や店員が使うシステムを開発した
サブスクサービス「パンスク」では群馬県の地元のパン屋さんが作るパンを届けている。パンフォーユーは、職人や店員が使うシステムを開発した
▼前編はこちら 「パン屋は選べない」偶然が生む冷凍パンサブスクのストーリー

現場に張り付き作業負担を徹底排除

石角友愛氏(以下、石角) パンフォーユーでは独自開発システム「パンフォーユーモット」を活用して、提携するパン屋さんの業務効率化を支援されているそうですね。このシステムがパンフォーユーのビジネスのブレークスルーになったと感じています。具体的にどういった機能がパン屋さんに役立っているのか教えてください。

矢野健太氏(以下、矢野) 例えば、配送伝票の準備や配送手配ですね。配送伝票は手書きだとかなり面倒ですが、パンフォーユーモット上で私たちが内容を入力し、最寄りの提携配送業者にデータを送ります。伝票は配送業者が印刷して商品の引き取りの際に持参してくれます。

石角 つまりパン屋さんは、パンを作って箱詰めしておくことに集中すればいいのですね。それはかなりの負担軽減になりますね。なぜここに着目されたのですか?

矢野 オフィス向けの冷凍パンの福利厚生サービス「パンフォーユーオフィス」を始めたとき、配送伝票の準備や配送業者への引き渡し作業はすべて私たちがやっていたのですが、手作業で本当に大変でした。その経験から、個人経営も多いパン屋さんに配送関連の作業をお任せしてしまうと負担が大きく、長くお付き合いしてもらうことは難しいのではないかと考えたのです。

 もともと個人向けの冷凍パンのサブスクリプションサービス「パンスク」を始める際に、パートナーとなってくれるパン屋さんを探したのですが、「手間がかかるんじゃないか」とどこもなかなか首を縦に振ってくれませんでした。売り上げが増えるとお伝えしたつもりが、ただでさえ忙しいのに、さらに作業負担が増えると感じられたようです。その誤解を解くのが大変でした。

受注や配送の管理ができる独自開発システム「パンフォーユーモット」
受注や配送の管理ができる独自開発システム「パンフォーユーモット」

石角 パン屋さんは特に朝忙しいというイメージがありますね。パンフォーユーモットを開発する際には、現場のヒアリングなどをされたのですか?

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