ポストコロナを迎える今、各業界をリードするイノベーターたちはDX(デジタルトランスフォーメーション)をどう考えているのか。人工知能(AI)開発と実装を現場で見ているAIビジネスデザイナーの石角友愛氏がトップ経営者や専門家と、具体的かつグローバルな議論を展開する。今回はコクヨ経営企画本部DXデザイン室、室長の三宅健介氏を迎え、デジタルとアナログを掛け合わせた同社のDXについて議論した。(対談は2022年9月13日)

AIビジネスデザイナーの石角友愛氏がコクヨ経営企画本部DXデザイン室長の三宅健介氏と対談した
AIビジネスデザイナーの石角友愛氏がコクヨ経営企画本部DXデザイン室長の三宅健介氏と対談した

石角友愛氏(以下、石角) 私の住んでいる米国では日本の文具が大人気で、扱う店に行くとコクヨの商品もたくさん見かけます。コクヨは1905年創業の老舗メーカーですが、最近はDXに積極的に取り組まれているとお聞きしました。しかも「デジタルトランスフォーメーション」ではなく「デジタルエクスペリエンス」と捉えているそうですね。その背景を教えてください。

三宅健介氏(以下、三宅) まず現状を少し説明したいと思います。一般的にはコクヨというと文房具のイメージが強いと思いますが、実はオフィス家具の販売、オフィスデザイン、オフィスの消費財通販の「カウネット」、インテリアショップの「アクタス」など、さまざまなブランド・事業を展開しています。

 これまではそれぞれがバラバラに運営されている状態でしたが、それらを企業向け(toB)の「ワークスタイル」と、一般消費者向け(toC)の「ライフスタイル」の2つに捉え直し、そのスタイルを提案していくことを目指しています。売り上げ規模については、現状の3000億円から2030年までに5000億円へと拡大することを目標に掲げています。

石角 「コクヨ=文房具」のイメージがあったので、モノではなくスタイルで考えられているとは意外です。そこに至った背景には、やはり市場の変化が影響しているのでしょうか?

三宅 そうですね。新型コロナウイルスの感染拡大前からオフィスでペーパーレスが進み、学校でも少子化やスマートフォンでの勉強など、環境に変化が起きていました。さらにコロナ禍でリモートワークやリモート授業が広まったことで、文房具市場はさらに縮小していると考えている方もいらっしゃると思います。

 ですがお客さまの働き方や学習の仕方が変わったことで、そこに新たな課題も生じているはずです。それを解決していくのが私たちの役目。まだまだビジネスに伸びしろがあると考えました。

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