「“ダイバージェンスの時代である”とは、進行中の変化を喝破する、卓越した洞察だと思います。コンバージェンスが始まるまでに、デジタルの力を使ってどこまで拡散していくものなのか、非常に楽しみな時代です」と音部大輔氏は石角友愛氏の著書『いまこそ知りたいDX戦略』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)について話す。石角氏が語る「DX(デジタルトランスフォーメーション)」と、音部氏が語る「マーケティング」、それぞれの分野から見える双方の親和性、そしてダイバージェンス時代のDX戦略について議論する。
音部大輔氏(以下、音部) IoTの進化により様々なことが変化していきました。詰まるところ「計測可能性が高まる」と私は理解しています。かつては限られた「放送局」が発信するテレビが媒体の主流でしたが、デジタル化の波を受けて今では誰もがブログなど様々な媒体で発信できるようになりました。DXとダイバージェンスは何かしら親和性があるだろうと思っております。そしてデジタルの本質の一つは、「ダイバージェンス(拡散)」なのではないかと考えています。
石角友愛氏(以下、石角) デジタルの本質の一つはダイバージェンス、面白いですね。音部さんは前から「ダイバージェンス」には注目されていたのでしょうか?
音部 そうですね、ダイバージェンスからコンバージェンス(収束)へのプロセスは、「アイディエーション」つまりアイデアの作り方などの話題や、色々な業界でも出てくる概念ではありますので理解しています。そして、デジタルであるからこそ、細分化されていっても成立できると思っています。
石角 素晴らしいです。「コンバージェント」などは、金融業界などでも使われる言葉ですよね。コロナ禍により一気に後押しされました。ダイバージェンスによって細分化したものの価値が捉えられ、可視化できるようになった今、ある意味、民主化に近づいていると思います。情報発信の領域では、これまで大手メディアに属した人しか発信できなかった情報が、草の根の部分から発信できるようになってきました。米国では「#Black Lives Matter」などがいい例で、一般市民でもムーブメントが起こせるという動向を感じています。ダイバージェンスのムーブメントは“ポジティブな反応”として捉えています。
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