ポストコロナを迎える今、各業界をリードするイノベーターたちはDX(デジタルトランスフォーメーション)をどう考えているのか。人工知能(AI)開発と実装を現場で見ているAIビジネスデザイナーの石角友愛氏がトップ経営者や専門家と、具体的かつグローバルな議論を展開する。冨山和彦氏が「半分入れ替えるべきだ」と指摘する中間管理職層は、今後どうすればいいのか。冨山和彦氏×石角友愛氏対談の後編。

前編はこちら

石角 冨山さんは、「エッセンシャルワーカーを中産階級雇用にすることを考えなければだめだ」とおっしゃっていましたが、実際にミドルマネジメント層は今後をどう考えていけばいいのでしょうか。

冨山 ミドルマネジメント層が生き残る方法は2つあると思います。1つは、どんな方法でもいいから会社にしがみついて、役立たずと言われようが、何が何だろうがしがみついてとにかく生き抜く。もし自分がデジタル化とグローバル化の時代にトランスフォーメーションする能力がない、あるいは才能もないと思うのであれば、とにかくあらゆる手段で、会社の中で自分の居場所を探すというのが1つの戦略です。

 もう1つの戦略は、先ほど石角さんがおっしゃっていたように、自分自身のトランスフォーメーション、つまり学び直しを真剣にやることです。新たな能力を自分が身に付けられるのであれば、企業の中にも新たな居場所があるかもしれないし、おそらく世の中にいくらでも転職先があります。

石角 なるほど。40代、50代からでも遅くないということですね。

冨山 全然遅くないです。というのは、「今から一流のサッカー選手になろう!」と考えるからややこしくなるわけで。例えば地方の中小企業などに移る際に、そこで求められるのは自前のPythonでプログラミングをする能力ではありません。日本のローカルのサービス産業の生産性はまだ低く、世界と比べたらランキング外がほとんどです。

 要するに、未開拓で、深化させられるところがまだいっぱいあるんです。そこでオペレーショナルエクセレンスを確立しようと思ったら、今あるツールを駆使していけば大企業で鍛えられた人はおそらく十分対応できるはずです。

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