ポストコロナを迎える今、各業界をリードするイノベーターたちはDX(デジタルトランスフォーメーション)をどう考えているのか。人工知能(AI)開発と実装を現場で見ているAIビジネスデザイナーの石角友愛氏がトップ経営者や専門家と、具体的かつグローバルな議論を展開する。今回は、経営共創基盤 IGPIグループ会長の冨山和彦氏を迎え、リーダーとして今のダイバージェンス時代を乗り切るDX戦略などについて議論した。

石角友愛氏(以下、石角) 冨山さんのご専門のDXやCX(コーポレートトランスフォーメーション)の話をする前に、お伺いしたいと思っていたことがあります。冨山さんの著書を読みまして、冨山さんがスタンフォード大学のMBA(経営学修士)留学中であった1990年代は日本がナンバー1の時代だったとのこと。そのような、日本のバブル時代の留学は、どのような感じだったのでしょうか?

冨山和彦氏(以下、冨山) とにかく日本車にすごいステータスがありました。ホンダのアコードとBMWのブランドイメージが同じぐらいでした。

石角 アコードがBMWと同格だなんて、すごいですね!

冨山和彦氏
経営共創基盤IGPIグループ会長の冨山和彦氏。オムロンや東京電力ホールディングスの社外取締役も務めた

冨山 ホンダのインテグラがすごく売れていた時期でしたね。中古車の値段が年々上がるので、2年間車に乗って売却しても、かえってもうかってしまうような時代でした。スタンフォード大学の近くにユナイテッドモーターズ(NUMMI、New United Motos Manufacturing, Inc.)というGMとトヨタ自動車が合弁で設立した会社の工場があったのですが、そこではトヨタの生産システムを導入していたようです。

石角 今はテスラの工場になっているところですよね。

冨山 そうです。当時はトヨタが米ゼネラル・モーターズ(GM)に生産システムを教えていたような時代でした。「貿易摩擦がすごいから、方法を教えてあげましょう」といった感じでした。実際、時価総額ランキングの上位はみな日本企業でしたね。また、ヨセミテ国立公園のコンセッション(公共施設等運営権)を松下電器産業(現・パナソニック)が持っていたり、ゴルフコースが有名なカリフォルニア州のペブルビーチは住友グループが持っていたりと、今では信じられないような時代でした。日本のGDPが米国に対して3対2まで迫っていましたから、今の中国とよく似ています。「10年もしないうちにきっと米国を抜くだろう」みたいなことさえいわれていたので、当時の米国にとって、経済的な仮想敵国は日本という感じになっていたのです。

石角 でしたら、冨山さんもスタンフォードでは、もてはやされていたり、教授から意見を求められたりしていたのではないでしょうか?

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