ポストコロナを迎える今、各業界をリードするイノベーターたちはDX(デジタルトランスフォーメーション)をどう考えているのか。人工知能(AI)開発と実装を現場で見ているAIビジネスデザイナーの石角友愛氏がトップ経営者や専門家と、具体的かつグローバルな議論を展開する。その第1弾として、日本におけるDXの進め方や乗り越えなければならない課題などについて、9月1日に発足したデジタル庁の平井卓也大臣と議論した。
石角友愛氏(以下、石角) デジタル庁が9月に発足するということで、今も(注1)デジタル庁のホームページで民間人材採用の第3弾として、幹部クラスの募集をされていましたが、採用の状況はいかがですか? 第1弾の民間人材採用では40倍ほどの倍率だったと伺っています。
平井卓也大臣(以下、平井大臣) 今回は、デジタル社会共通機能グループのグループ長など責任あるポジションの採用で、第1弾より倍率としては下がっていますが、著名な方に多く手を挙げていただいております。そういう意味では、とても心強いです。おそらく、このまま日本が国家としてDXに取り組まなければ大変だと懸念されて手を挙げていただいたのでしょうね。自分たちのこれまでのスキルや経験などを生かしたいという方々に本当に多く応募いただきました。それにはデジタル庁への期待を感じます。
石角 そうですね。大臣が以前講演されたビデオを拝見したのですが、その中で大臣が「行政サービスが使いにくいとほとんどの人が当たり前に思っていること自体がまず間違っている。そこは当たり前に思わないで、UI/UXの改善がそこに必要だと多くの人がいい意味での怒りを感じることがまず大事だ」とおっしゃっていたことが印象的でした。
平井大臣 今までの「行政サービスは使いにくいのが当たり前」だと思っていたことを疑うところから始めないといけません。新しい取り組みをするときは現状否定から入らないと、今のままでいいと思ってしまったら、何の改善策も打ち出せないですよね。
石角 どこを改善すべきかどうかというところで、大臣の場合は、UX/UIにかなり重きを置いていらっしゃるのでしょうか?
平井大臣 そこが一番の評価軸だと思います。結局、システムが動いているというよりも、使った人に本当に便利で良くなったと感じてもらえることが重要です。既に宣言をしていますが、マイナンバーカードの電子証明書機能をスマートフォンに搭載できるように法整備を行うとともに、最終的にはスマートフォンで全ての行政手続きが60秒以内に完結することを目指しています。
石角 それが実現できたら、すごいことですよね。
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