今回は、PowerPointの「画面録画」機能を解説する。これは、デスクトップ画面での操作を録画してスライドに貼り付ける機能だ。貼り付けた動画は、単独の動画ファイルとして保存することもできる。

※日経パソコン2021年3月22日号の記事を再構成

 これまで、PowerPointの「スライドショーの記録」機能を使って、スライドショー実行中の操作を音声と映像付きで録画し、さらにスライドショー全体を動画として保存するまでの手順を紹介した。

 PowerPointには、それとは別の動画機能として「画面録画」がある。この機能を使うと、画面で操作した内容を録画し、そのままスライドに動画として貼り付けられる。

 例えば、パソコンの機能や操作を紹介するプレゼンなら、この機能を使うことで、動画付きのスライドを簡単に作成できる。貼り付けた動画の編集も可能だ。スライド内の動画を選択すると、リボンメニューに「ビデオ形式」タブと「再生」タブが現れる。ここには動画用の各種ツールがそろっているので、動画編集ソフトを持ち出す必要はない。

 ここでは例として、ExcelのグラフをWord文書に貼り付ける操作を録画しよう(図1)。その準備として、PowerPointのほかに、ExcelとWordも起動し、録画中に使うブックと文書を事前に表示させておこう(図2)。これで、録画開始後の操作がスムーズになる。音声を録音する場合は、そのためのマイクの設定も確認しておこう。

サンプルファイルのダウンロードはこちら(日経パソコンのホームページ)

今回の完成図
今回の完成図
図1 PowerPointの「画面録画」機能で、ExcelのグラフをWordの文書に貼り付ける操作を録画する。録画した動画はそのままスライドに貼り付けられる。動画部分だけを別ファイルとして保存することもできる
[画像のクリックで拡大表示]
録画対象のアプリを表示させておく
録画対象のアプリを表示させておく
図2 PowerPointの編集画面とは別に、録画対象のアプリとしてWordとExcelの画面をあらかじめ表示させておく
[画像のクリックで拡大表示]
※ Microsoft 365 PersonalのPowerPointについて解説します

 準備ができたら、録画した後の動画を貼り付けるスライドを表示した状態で、「挿入」タブの「画面録画」ボタンをクリックする(図3)。

 PowerPointのウインドウが自動で最小化され、それ以外のデスクトップ画面になる。ここでは、事前に全画面表示で開いていたExcel画面が現れた。同時に画面全体が薄暗くなり、画面上部には録画用の操作パネルが表示される(図4)。

 なお、最初に表示されるウインドウが違っていた場合は、この時点でやり直してもよい。操作パネル右上の「×」をクリックして操作を中断し、タスクバーのアイコンでアプリを切り替えるなどしてから、改めて画面録画を実行する。

 操作パネルには、「録画」「停止」「領域の選択」「オーディオ」「ポインターの録画」という5つのボタンが並ぶ。音声入りで録画するなら「オーディオ」ボタン、マウスポインターの動きも含めるなら「ポインターの録画」ボタンをオンにする。

 画面全体が薄暗くなっている状態で、まずは録画対象の領域を指定する。ここではExcel画面の全体を録画するので、左上隅から右下隅までをドラッグした。指定した領域は、赤い破線で囲まれて通常の明るさになる(図5)。対象領域を変更する場合は、操作パネルの「領域の選択」ボタンをクリックしてからやり直す。

 設定が終わったら、操作パネルの「録画」ボタンをクリック。操作パネルが隠れて、「3」「2」「1」のカウントダウンが表示される(図6)。

貼り付け先のスライドで「画面録画」を実行する
貼り付け先のスライドで「画面録画」を実行する
図3 タスクバーでPowerPoint画面に切り替え、録画後の動画を貼り付けるスライドを表示してから、「挿入」タブの「画面録画」ボタンをクリック
[画像のクリックで拡大表示]
図4 PowerPoint画面が最小化され、すぐ下にあったExcel画面が表示された。上部中央には操作ボタンのパネルが現れ、デスクトップ画面の全体が薄暗くなる
図4 PowerPoint画面が最小化され、すぐ下にあったExcel画面が表示された。上部中央には操作ボタンのパネルが現れ、デスクトップ画面の全体が薄暗くなる
[画像のクリックで拡大表示]
図5 録画する領域を指定する。左上隅から右下隅までドラッグして画面全体とした。対象の領域が赤い破線で囲まれる
図5 録画する領域を指定する。左上隅から右下隅までドラッグして画面全体とした。対象の領域が赤い破線で囲まれる
[画像のクリックで拡大表示]
図6 操作パネルが隠れて、画面に「3」「2」「1」のカウントダウンが表示される。「1」が消えた後の操作が全て録画される
図6 操作パネルが隠れて、画面に「3」「2」「1」のカウントダウンが表示される。「1」が消えた後の操作が全て録画される
[画像のクリックで拡大表示]

 カウントダウンが終わって録画が始まった後は、目的の操作を通常通りに進める。ここでは、事前に開いておいたExcelとWordのウインドウを操作して、ExcelのグラフをWord文書に貼り付ける手順を実行する(図7)。

 具体的には、Excelのウインドウに表示させておいたグラフ部分をクリックして選択し、「ホーム」タブの「コピー」ボタンを押す。続けて、タスクバーのアイコンでWordのウインドウを前面に表示させ、グラフを貼り付けたい文書中の位置をクリック。「ホーム」タブの「貼り付け」ボタンを押す。貼り付けた後のグラフはサイズや位置を適宜調整する。

 以上の操作が終わったら、画面上端にマウスポインターを移動。隠れていた操作パネルが現れるので、停止ボタンをクリックして録画を終了する(図8)。これでPowerPoint画面に戻り、表示中のスライドに録画した動画が貼り付けられる(図9)。なお、PowerPointを録画対象にすることも可能だ。

操作を録画してPowerPoint画面に戻る
操作を録画してPowerPoint画面に戻る
図7 記録する操作を実行する。Excel画面のグラフを選択して「ホーム」タブの「コピー」ボタンをクリック(上)。タスクバーでWord画面に切り替えて「貼り付け」ボタンをクリック(下)。グラフの位置やサイズを調整した
[画像のクリックで拡大表示]
図8 画面上端にマウスポインターを移動させ、現れた操作パネルで停止ボタンをクリックする
図8 画面上端にマウスポインターを移動させ、現れた操作パネルで停止ボタンをクリックする
[画像のクリックで拡大表示]
図9 最小化されていたPowerPoint画面が開き、表示していたスライドに録画した動画が貼り付けられた状態になる
図9 最小化されていたPowerPoint画面が開き、表示していたスライドに録画した動画が貼り付けられた状態になる
[画像のクリックで拡大表示]

 画面の操作を録画した動画は、スライド内で通常の動画と同じように操作できる(図10)。動画の選択中は下に操作バーが表示されるので、まずはバーの左端の再生ボタンを押して、録画内容を確認しよう。

 思い通りの内容になっていなければ、[Delete]キーを押して動画を削除し、改めて画面録画を実行しよう。「スライドショーの記録」のような部分的にやり直す機能はないので、複雑な手順のときは、事前にしっかりリハーサルをしておきたい。

 内容に問題がなければ、スライド内の位置やサイズを整えておく。必要なら、動画選択中に表示される「ビデオ形式」タブで動画に枠を付けたり、「再生」タブでフェードイン/フェードアウトなどの効果を加えたりしてもよい。

 スライドに貼り付けられた動画は、単独の動画ファイルとして保存できる。つまりPowerPointは、スライドショーとは無関係な画面録画ツールとしても使えるわけだ。

 動画ファイルとして保存するには、スライドの動画部分を右クリックしてメニューを表示し、「メディアに名前を付けて保存」を選択する(図11上)。開く画面で保存先フォルダーとファイル名を指定して「保存」ボタンをクリックする(図11下)。保存される動画ファイルはMPEG-4(mp4)形式になる。

 保存した動画ファイルをダブルクリックすると、標準設定のWindows 10なら、「映画&テレビ」アプリが起動して動画を再生する(図12)。

貼り付けられた動画をファイルとして保存する
貼り付けられた動画をファイルとして保存する
図10 スライドの動画は、ドラッグ操作でサイズや位置の変更ができる。動画の左下に現れる再生ボタンをクリックすると、スライド上で再生される
[画像のクリックで拡大表示]
図11 この動画を単体のファイルとして保存しよう。動画を右クリックして、表示されるメニューから「メディアに名前を付けて保存」をクリック。保存先フォルダーを指定してファイル名を付け、「保存」ボタンをクリックする
図11 この動画を単体のファイルとして保存しよう。動画を右クリックして、表示されるメニューから「メディアに名前を付けて保存」をクリック。保存先フォルダーを指定してファイル名を付け、「保存」ボタンをクリックする
[画像のクリックで拡大表示]
図12 保存先のフォルダーを開き、保存した動画をダブルクリック(左)。既定の動画アプリで再生が始まる(右)
図12 保存先のフォルダーを開き、保存した動画をダブルクリック(左)。既定の動画アプリで再生が始まる(右)
[画像のクリックで拡大表示]