今回はまず、「スライドショーの記録」機能で録画してあるスライドの一部を修正して整える。次に、スライドショーを動画ファイルとして保存することで、PowerPointを使わなくても視聴できるようにする。
※日経パソコン2021年3月8日号の記事を再構成
前回は、「スライドショーの記録」機能を使って録画し、作成済みのプレゼンテーションファイルに、ナレーションの音声と書き込みなどを追加した。それらはスライドごとに保存されており、スライドショーを実行すると自動で再生される。
録音後に確認したとき、操作のもたつきや説明の過不足が気になることもあるだろう。そんなときは、録画を最初からやり直すのではなく、途中のスライドからやり直そう。
例えば、4枚目のスライド以降の録画をやり直すには、録画済みの4枚目のスライドを表示して、「スライドショー」タブの「スライドショーの記録」ボタンから「現在のスライドから記録」をクリックする(図1)。
スライドショーの記録画面に切り替わり、4枚目のスライドが表示された状態になる。あとは前回と同じだ。画面左上の「記録」ボタンを押すと「3」「2」「1」のカウントダウンが表示され、録画が始まったら、スライドの操作を記録しながらナレーションを録音する(図2)。最後の黒い画面でクリックして終了する。
通常の画面に戻ったらスライドショーを実行し、4枚目以降の操作や音声が、やり直した内容に更新されていることを確認しておこう(図3)。
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カメラ付きのパソコンでスライドショーの記録を実行すると、カメラに映った自分の姿がワイプ映像としてスライドの右下に表示され、そのまま動画として録画できる。録画後は、それぞれのスライドの右下に、ワイプ映像の動画が貼り付けられた状態になる(図4)。
ワイプ映像の動画は、通常の操作でスライドに動画を挿入したときと同じ状態だ。マウスポインターを重ねると再生用のバーが表示され、バーの左端の「再生」ボタンを押すとその場で動画を再生する。
動画の位置や大きさは自由に調整できる。録画直後は全てが右下なので、例えば1枚目のスライドでは、動画が重なって一部の文字が読めなくなってしまった。そんなときは、文字が見えるように動画の位置を変更しよう。動画をクリックして選択してから、そのまま移動先までドラッグすればよい(図5)。
動画を拡大/縮小するときは、周囲の白いハンドルをドラッグする(図6)。このとき、四隅のハンドルをドラッグすると、元の縦横比を保持したままサイズが変わる。
動画の選択中に表示される「ビデオ形式」タブには、動画を加工する機能が用意されている。例えば「ビデオスタイル」では、動画の縁にいろいろな枠を付けられる(図7)。
なお、スライドごとにワイプ動画の位置や大きさが頻繁に変わると、落ち着かない印象になるので好ましくない。基本的には必要な箇所の変更だけにしておこう。
必要な手直しを終えたら、通常通りプレゼンテーションファイルとして保存。後は、このファイルをクラウドにアップロードするなどで、オンラインのプレゼンが可能になる。
ただし、プレゼンテーションファイルだと、相手もPowerPoint画面のメニューでスライドショーの実行を選ぶことになり、やや手間が掛かる。PDFファイルに変換すれば手早く表示できるが、それではせっかく録画した内容を生かせない。手早く視聴できるようにするには、扱いが簡単な動画として保存するのがお勧めだ。まずは、「ファイル」タブをクリックし、左側の「エクスポート」→「ビデオの作成」を選んで、変換するための画面を開こう(図8)。
ここで設定する項目は2つ。まずは解像度を設定する。「フルHD」の箇所をクリックすると、解像度の一覧が表示される(図9)。解像度は、かっこ内の数字が大きいほど高画質だが、ファイルサイズは大きくなる。ここでは「HD(720P)」を選んだ。
次は、記録したタイミングとナレーションを使用するかどうかを指定する。タイミングとは、スライドショーでスライドを切り替えるまでに要した時間のことだ。ここでは、「記録されたタイミングとナレーションを使用する」を選んだ(図10)。
最後に「ビデオの作成」ボタンをクリックして、保存場所とファイル名を指定する。MPEG-4(mp4)形式のほか、Windows Media ビデオ(wmv)形式も選べる(図11)。なお、作成にはやや時間がかかる。
プレゼン用のファイルを動画として保存したら、保存先のフォルダーを開いて確認しよう(図12上)。動画ファイルも、通常はダブルクリックで再生できる(図12下)。
標準設定のWindows 10なら、付属アプリの「映画&テレビ」が起動して動画を再生する。一時停止や音量の調節などは、画面下側に並ぶ各ボタンで操作する。画面右上の「最大化」ボタンをクリックすれば全画面表示になるので迫力が増す。
PowerPointのプレゼンテーションファイルでは、再生途中でも次のスライドに切り替えられる。一方、動画ファイルは録画した通りの再生なので、途中を省きたいときは、早送りの操作になる。
動画編集アプリがあれば、動画の加工も可能だ。「映画&テレビ」アプリで動画を開いている場合は、画面下のメニューで「トリミング」や「手書き」などを選べる(図13)。いずれも、自動で起動する付属アプリの「フォト」で作業する。
ほかの動画再生アプリで開きたいときは、動画ファイルの右クリックメニューにある「プログラムから開く」から指定する(図14)。
なお、動画の場合はファイルのサイズに注意しよう。録画したプレゼンテーションファイルは、音声や映像が加わるので、サイズが大きくなる。動画変換でそれがさらに大きくなることもある。アップロードする前に確認し、必要なら解像度を下げるなどでサイズを小さくした動画ファイルを用意しておこう。