PowerPointには、スライドショー中の操作や音声を記録したり、デスクトップ画面での操作を録画してスライドに貼り付けたりする機能がある。この連載では、これらの機能を使った操作の手順を、全3回で紹介する。
※日経パソコン2021年2月22日号の記事を再構成
オンラインのプレゼンでは、説明に使ったPowerPointのスライドに音声を付けて公開することが多い。とはいえ、別に音声を録音して、スライドと一緒に利用できるようにするのはかなりの手間だ。音声データの扱いに不慣れな人も多いだろう。
PowerPointで「スライドショーの記録」機能を使えば、スライドショーの画面とともに、実行中の音声や操作を動画のように記録できる。スライドショーを動画として保存する機能もあるので、組み合わせればプレゼンの動画を簡単に作れる。
デスクトップ画面での操作を録画して、PowerPointのスライドに貼り付ける「画面記録」の機能もある。この機能で貼り付けた動画も、単独の動画ファイルとして保存可能だ。
今回は、スライドショーの画面を、発表者のナレーションと映像付きで記録する。次回は、記録済みのファイルに修正を加え、動画ファイルとして保存する(図1)。第3回は、「画面録画」の機能でWordとExcelの操作を録画し、その内容を動画としてスライドに貼り付ける。
まずは、録画中に使用するマイクの動作を確認しておこう(図2、図3)。なお、カメラの機能は実際の録画中に確認する。
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録画の準備ができたら、作成済みのプレゼンテーションファイルを開く。ここでは、あらかじめ作成しておいた「宅配弁当の提案書」というファイルを使った。
まずは、「スライドショー」タブにある「スライドショーの記録」ボタンを押す(図4)。ボタンの下側を押すとサブメニューが開くので、ここでは「先頭から記録」を選ぼう。
これで、スライドショーの記録画面に切り替わる(図5)。録画されるのは中央のスライド部分のみで、周囲の黒い部分は録画中の操作で使う。マイクからの音声も録音されるほか、カメラ付きのパソコンなら、スライドの右下に表示されるワイプ映像が動画として記録される。マイクとカメラは、画面右下のボタンでオン/オフを切り替えられる。
周囲の黒い部分の下側には、スライドショーの実行中に使える手書きペンの機能が並ぶ。選んだペンの色や太さでスライドに手書きした軌跡を、そのまま録画できる。
そのほか、あらかじめ各スライドに「ノート」を入力してあれば、上部の「ノート」ボタンでその内容を確認できる。左下にはスライドショーの経過時間が表示される。
録画を開始するには、左上の「記録」ボタンをクリックする(図6)。画面上に「3」「2」「1」のカウントダウンが表示され、「1」が消えた時点で録画がスタートする。録画中に慌てることのないよう、あらかじめ実際のプレゼン通りに、しっかりリハーサルをしておこう。
カメラからのワイプ映像が表示されている場合、録画中はワイプの左上に赤い丸が付く(図7)。内容に沿ったナレーションを録音しつつ、画面右端の「次のスライドを表示」ボタンでスライドを切り替える。通常のプレゼンと同じ要領で、ナレーションに合わせて進めよう。
スライドを切り替えるタイミングで「一時停止」ボタンをクリックして、小休止してもよい。もう一度「記録」ボタンを押せば、そのスライドから録画を再開する。
スライドショーの記録では、途中で操作や説明を間違えても大丈夫。間違えたかもしれないと思ったときは、そのスライドが表示されている状態で、左上の「停止」ボタンをクリックする(図8)。そのまま続けて「再生」ボタンをクリックすると、表示中のスライドだけが再生されるので、どのように録画されたかをすぐに確認できる。
録画をやり直すときは、右上の「クリア」ボタンから「現在のスライドの録音をクリア」を選ぶ(図9)。その後で「記録」ボタンをクリックすると、最初のときと同じカウントダウンが表示され、表示中のスライドから録画をやり直せる(図10)。
最初から全てをやり直してもよい。その場合は、「クリア」ボタンから「すべてのスライドの録音をクリア」を選ぶ。なお、録画中は「クリア」ボタンの下の項目がグレーアウトになって選択できない。慌てずに、「停止」ボタンをクリックしてから選び直そう。
通常のスライドショーでは、ペンの機能を使ってスライド上をドラッグして文字や図形を描画できる。画面は違うが、この機能は録画中のスライドショーでも使える。
画面下部で「ペン」または「蛍光ペン」を選び、続けてペンの色を選んでから、スライド上をドラッグする(図11)。ペンでドラッグした軌跡が、筆順通りにそのまま録画される仕組みだ。ペンは録画の停止中に選択してもよい。注目してほしい箇所やキーワードを囲んだり下線を引いたりすると、その場で説明しているようなライブ感を演出できる。
「消しゴム」を選ぶとポインターが消しゴム形になり、クリックでペン書き部分を消去できる(図12)。
スライドショーを最後まで進めると、通常通り終わりを示す黒い画面になる。この画面でクリックすると、スライドショーの記録が終了して、編集画面に戻る(図13)。
各スライドには記録した内容が追加されている(図14)。カメラで録画していれば、全てのスライドの右下にワイプ映像の動画が付く。ペンの機能を使って手書きしたスライドには、その内容が表示される。
「スライドショー」タブの「最初から」のボタンをクリックするなどで、スライドショーを実行してみよう。録音したナレーションの音声とワイプ映像の動画が再生され、記録中に切り替えたタイミングで、スライドが切り替わる。ペン機能での書き込みも筆順通りに再生される。