今回は、スライド内のグラフに「アニメーション」を設定する。棒グラフの棒を1本ずつ順番に表示したり、グラフに書き込んだ図形や文字を次々に自動表示したりする方法を解説しよう。「SmartArt」の図表にも設定可能だ。
※日経パソコン2019年6月24日号の記事を再構成
数値データの全体的な傾向を示すためのグラフは、プレゼンテーションで欠かせないツールだ。棒グラフの棒の高さや、折れ線グラフの線の傾き、円グラフの面積を一目見るだけで、数字の大きさや推移、割合を把握できるからだ。加えて、グラフにアニメーションを設定すると、グラフで伝えたい内容を聞き手の印象に残すことができる。
今回は、3枚目のスライドの棒グラフにアニメーションを設定し、棒が1本ずつ下から伸び上がる動きを付けることで、グラフの棒の高さを強調する(図1)。
さらに、グラフが表示された後に、図形や文字が順番に表示される動きを付けて、注目ポイントを目立たせよう(図2)。
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グラフにアニメーションを付けるときは、グラフの外枠をクリックしてグラフ全体を選択してから、「アニメーション」タブにある一覧で動きを選ぶ(図3)。
グラフがスライドに表示されるときの動きを付けたいので、ここでは、「開始」グループにある「ワイプ」を選んだ。ワイプは下から上へと動くので、棒の高さを強調するのにうってつけだ。
グラフの左上に表示されたアニメーションの実行順序を示す数字を見てみると、「1」とだけ表示される。これは、7本の棒が同時に動くことを意味している(図4)。
留学生の数が右肩上がりにどんどん増えている様を表すには、左端の棒から順番に表示された方が効果的だろう。
そこで、「効果のオプション」ボタンから「項目別」を選択して、1本ずつ個別に動くように変更する(図5)。
すると、左上の数字が「1」から「8」に変わった。棒は7本だけだが、後述するグラフの背景にもアニメーションが付くため、合計8つのアニメーションになる。
なお、「効果のオプション」の一覧には、「系列別」や「項目別」などの複数のメニューが並んでいる。違いが分かりにくいときは、それぞれのメニューをクリックして実際の動きを再現してみるとよい。
特に、集合棒グラフのように、複数の棒で構成されているグラフの場合は、その違いが明確になる。
設定できたら、スライドショーを実行して、棒が1本ずつ動くことを確認しよう(図6)。グラフ内にある赤い直線と矢印、赤い文字は後から動きを設定するので、今はこのままで構わない。
アニメーションの種類を変更するには、左上の数字をクリックしてから動きを選び直すと、上書きできる。また、数字を[Delete]キーで削除すると、アニメーションを丸ごと削除できる。
スライドショーで確認した通り、グラフにアニメーションを付けると、まず最初にグラフの背景が「ワイプ」の動きで表示される。
このままでも問題ないが、背景の動きを止めたければ、図7の操作で「アニメーションウィンドウ」から「ワイプ」画面を開く。
その画面で「グラフアニメーション」タブを選択し、「グラフの背景を描画してアニメーションを開始」のチェックを外せばOKだ。
あるいは、グラフを選択した状態で、「アニメーション」タブの「アニメーション」グループ右下にある「効果のその他のオプションを表示」ボタンをクリックすると、「ワイプ」画面を直接開ける。
今のままでは、グラフが表示される前に、赤い直線と文字が見えてしまう。そこで、グラフが表示された後に動き出すようにアニメーションを設定しよう。
アニメーションを付けるのは、赤い直線2本と矢印付きの直線、赤い文字の4カ所だ。
まず、下側の赤い直線を選択し、「開始」グループの中から「フェード」の動きを付ける(図8)。この動きは、要素がじわじわと表示されるので、聞き手に期待感を持たせる演出効果がある。
同様の操作で、アニメーションを動かしたい順番に、ほかの3つの要素にも「フェード」の動きを付けると、それぞれの要素の左側に実行順序を示す数字が表示される(図9)。
これで、グラフと上下の直線、矢印、文字の全てにアニメーションを設定できた。ただし、クリックしないと、次の要素が表示されない。
全てのアニメーションが連続して自動再生されるようにするには、グラフをクリックし、[Shift]キーを押しながら4つの要素をクリックして選択。「アニメーション」タブの「開始」のタイミングを「直前の動作の後」に変更する(図10)。
「直前の動作の後」とは、1つ前に表示された要素に続けて自動表示するという意味だ。通常は「クリック時」に設定されているため、クリックしたときに初めてアニメーションが動く。ちなみに、1つ前の要素と同時に表示したいときは、「直前の動作と同時」を選べばよい。アニメーションウィンドウで順序の変更も可能だ(図11)。
グラフだけでなく「SmartArt」という、組織図やフローチャートなどを簡単に作成するための機能を利用した図表に対しても、アニメーションを設定できる。
図表の外枠をクリックして選択し、アニメーションの種類を選ぶだけでOKだ(図12)。最初は、図表全体が1つの要素として同時に動くが、「効果のオプション」ボタンから図表を構成する図形を動かす単位を変更できる(図13)。
最後にスライドショーを実行して、アニメーションを使い過ぎていないか、正しく自動再生されるかどうかなどをチェックしよう。