今回は、スライドに入力した文字に、「アニメーション」機能を使って動きを設定する。プレゼンテーションを実行したときに、文字が読みやすいような動きや、キーワードに注目が集まるような動きを付けよう。
※日経パソコン2019年6月10日号の記事を再構成
前回は、「画面切り替え」を設定して、プレゼンテーションでスライドが切り替わるときの動きを付けた。
今回は、スライド内の文字を動かす「アニメーション」を設定する。画面切り替えがスライド全体の動きであるのに対し、アニメーションはスライド内の要素に付ける動きだ。
初心者が陥りがちなのは、アニメーションを付けること自体の楽しさから、アニメーションだらけのスライドを作成してしまうこと。スライドの内容よりアニメーションが目立つようでは本末転倒だ。アニメーションを使う目的を正しく理解して使うようにしたい。
アニメーションの目的の一つは、順番に文字や図形を表示させて説明を補うことだ。最初からスライドの内容が見えてしまわないように、説明に合わせて要素を動かす。
目的のもう一つは、商品名やキャッチフレーズのように、要素そのものを目立たせること。
今回の例では、2枚目のスライドの箇条書きが1行ずつ順番に表示される動きと(図1)、4枚目のスライドの国名が下から順番に浮き上がった後で色が変化する動きを付ける(図2)。なお、アニメーションには4つの種類がある(図3)。
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前ページの通り、アニメーションには、要素をスライドに表示する「開始」、表示中の要素を目立たせる「強調」、要素がスライドから消える「終了」、要素がA地点からB地点に移動する「軌跡」の4種類がある。単独で使うほか、組み合わせも可能。
まずは、「開始」のアニメーションを使って、説明を補う動きを付ける。2枚目のスライドの箇条書きを1行ずつ順番に表示させよう。それには、箇条書きの外枠をクリックして箇条書き全体を選択し、アニメーションの一覧を開く(図4上)。
アニメーションの一覧はグループ分けされており、「開始」グループの中から動きを選ぶ。文字に付けるアニメーションは読みやすい動きであることが大切だ。ここでは、「ワイプ」を選んだ(図4下)。
アニメーションを設定すると、文字の先頭に実行順序を示す数字が表示される(図5)。
「プレビュー」ボタンを押して確認すると、文字が下から動き出すため、少々読みづらい。横書きの文字は、「ワイプ(左から)」や「スライドイン(右から)」などのように、先頭文字から右方向に表示される動きが適している。そこで、「効果のオプション」ボタンから、アニメーションの方向を「左から」に変更する(図6)。
スライドショーを実行すると、説明に合わせて、クリックするたびに箇条書きが表示されるので、説明前の内容を聞き手に見せなくて済む(図7)。説明中の内容に集中してもらえる効果もあって一石二鳥だ。
次に、4枚目のスライドにある国名に、要素を目立たせるためのアニメーションを付ける。国名は、「挿入」タブの「テキストボックス」を使って、3つのテキストボックスに別々に入力して飾りを付けてある(図8)。
アニメーションは、実際に動く順番通りに設定するのが効率的だ。まずは「1位 CANADA」のテキストボックスを選択し、「開始」グループにある「フロートアップ」を設定する(図9、図10)。同じ操作で、残り2つのテキストボックスに「フロートアップ」の動きを付ける(図11)。
動きを付けた箇所には「1」から「3」までの数字が表示された。スライドショー実行時に、3回クリックして国名を表示するという設定だ。
このままでもよいが、実際のプレゼンの流れでは、連続した自動再生の方がスムーズになる場合もある。自動再生の設定にするには、[Shift]キーを押しながら3つのテキストボックスをクリックして選択し、「開始」のタイミングを「直前の動作の後」に変更する。
そうすると、「1」から「3」の数字が「0」に変わる。これは、スライドショーの実行中にクリックしなくても、自動的にアニメーションが再生されることを示している(図12)。
最後に、3つの国名が表示された後に文字の色が変わる「強調」のアニメーションを追加しよう。
気を付けたいのは、アニメーションを追加するときは、「アニメーションの追加」ボタンから、重ね付けする動きを選ぶこと(図13)。これをしないと、設定済みのアニメーションが上書きされる。ここでは、「強調」グループの「補色」を追加した。
「強調」のアニメーションもクリックなしで動くように、開始のタイミングを「直前の動作の後」に変更すると、「開始」から「強調」までの一連のアニメーションを流れるように連続で再生できる。
なお、画面右側に「アニメーションウィンドウ」を表示すると、設定済みのアニメーションをまとめて確認できる(図14)。